今夜、夢で逢おう【名前変換オリジナル】

ep.11 ページ11

「あはは...ごめんね、こんなに重くて暗い話」




蒼真「いえ、僕の方こそ...何も知らずに辛い事を思い出させてしまってすみません」












誰かに両親のことを話したのは初めてだった。




だって、私と瀬川くんはこの夜だけの関係












「寝られるのは嬉しいけれど、夢は嫌い」



蒼真「そうなんですか」






「うん、あんまりいい思い出がないからかも」










夜はだんだん冷え込む時期になって
ますます寝られない事が増えるだろう



その度に...1人であることを全身で感じるから







私はわざと強く見せたかったのかな



















蒼真「僕は好きですよ」










「...え？」















蒼真「乃木さんは辛いって思ったかもしれないですけど、僕は夢なら会いたい人に会えるから素直に嬉しいです」




「...」












瀬川くん...













蒼真「単純なんですかね」



















誰にでも、会いたい人はいる。
それがもしも...もう会えないと思った人なら尚更





名前も何処にいるかも分からないのなら…

夢でしか会えない人だっている。



















「そんな事ないよ？瀬川くんは...素敵だね」







瀬川くんはベッドの端に来て私の顔を見て
またいつもの顔で微笑んだ。



















蒼真「少しだけ、手を握ってもいいですか？」




「...うん」
















右手がゆっくりと彼の両手に包まれる



暖かくて優しい手だ









蒼真「良い夢が見られますように...」





「...瀬川...くん」













蒼真「おやすみなさい」











「.....ん」



















.....朝なんて来なくてもいいのに


そんなふうに珍しく思ってしまった。

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