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季節はあっという間にすぎて、俗に言う別れの季節である3月がやって来た。
無事に高校の卒業式も終わって、俺は今ある場所に向かっている。
高校の思い出なんてたいしたことないって思ってたのに、いざ卒業ってなるといろんなこと思い出してちょっとだけ泣きそうになったのはここだけの秘密。
卒業式マジックってすごいよな笑
あ、いたいた。
「お、やぶー！」
俺を見つけるなり、手をあげて叫ぶ光。
「わりぃ遅くなった」
「全然！そんなことより薮ちゃん卒業おめでと！」
「おーありがと」
ニコニコ笑顔の大ちゃんの頭をわしゃわしゃと撫でる。
ほんと、トイプードルみたい笑
「はー伊野ちゃんにも会いたかったなあ」
光が空を見上げながら言う。
「な、遊び行こって約束したのに」
「伊野ちゃん元気かなー」
どこまでも続く青い空に向かって伊野ちゃーん！！と叫ぶ大ちゃん。
今日こんないい天気だったんだ…
「ちょっと、勝手に殺さないでくれる？？」
「わっ！」
後ろからの声に振り向けば、両腕を組んで呆れた顔で伊野尾が立っていた。
…はい、ちゃんと生きてます笑
「ふふっ、ごめんって！そんな怒んないでよ伊野ちゃん！」
「んもう、おほってないからそえやめろ！！」
むにむにと伊野尾のほっぺたをつまむ大ちゃんとやめろと言いながら無抵抗でやられ放題な伊野尾。
「ふはっ、ぶっさいくな顔笑」
「うるはい」
「いやー、ほんと伊野ちゃん元気になってよかった！」
頑張ったもんね、と光が伊野尾の頭に手を置く。
あれから無事手術は成功して、伊野尾もリハビリとか検査とかいろいろ頑張って今は定期的な通院だけで大丈夫になったらしい。
ほんと、よく頑張ったよ。
「そういえば、やぶ受験どうだったの？」
その質問に、一瞬全員の動きが止まって俺に注目が集まる。
「そうだよな、伊野尾には言ってなかったよな」
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作者名：わんころもち。 | 作成日時：2022年9月9日 20時
