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「俺…やっぱり死ぬのかな…？」
自分でも声が震えているのがわかる。
「伊野尾…」
「やぶっ……おれ…こわいよっ…」
話し始めたら急にめちゃくちゃ怖くなってきて、涙がぼろぼろこぼれ落ちる。
…いや、急にじゃないな
ほんとはずっと怖かったんだと思う。
誰にも言わなかった、言えなかっただけで…
「んっ…」
そのとき、ふと頭に大きな手が乗せられた。
そのままぽんぽんと優しく撫でられる。
「…怖いよな、そりゃ。伊野尾はえらいよ、めちゃくちゃ頑張ってる」
「っ………うぅ…っ…」
やめてよ、
そんなに優しくされたら余計泣いちゃうって
「…ふふ、やっと話してくれたね」
「ほぇ、……？」
どういう意味かわからなくて視界の涙を拭って薮を見る。
「伊野尾のほんとの気持ち。聞けてよかった」
「…っ……」
「伊野尾はどうしたい？」
「俺、は………生きたい…けど、死ぬのが怖い…」
今までだって翔先生からなんとなく手術の話はもちかけられてきた。
だけど毎回現実から目を逸らして逃げてきたんだ、
「話してくれてありがとう。…あとちょっとだけさ、俺と頑張ってみない？」
「へ……」
「俺さ、大学受験することにしたんだ。伊野尾と出会って夢ができた。ほんとにやりたいこと、見つかったんだ」
「夢…？」
「うん。
医者になって、伊野尾みたいに病気で苦しんでる子どもたちを助けたい。それで…学校に行かせてあげたい」
え……
もしかして、俺が言ったこと…覚えてて…っ
嬉しくてまた涙がこぼれ落ちる。
「こう思えたのも全部伊野尾のおかげだよ。俺は、受験頑張って絶対合格する。だから、伊野尾も手術頑張って元気になったら遊びに行こ？」
「…そんなの…失敗したらどうするの…っ………やぶが」
「なんてこと言うんだよ笑 …ま、そのときはちょっとだけ待っててもらおっかな」
そう言ってくしゃっと笑うとわしゃわしゃと俺の頭を撫でる薮。
「きっと大丈夫だよ。一緒に頑張ろ？」
「うん。約束…ね？」
「わかった、約束」
俺が差し出した小指を、薮がぎゅっと握り返した。
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作者名：わんころもち。 | 作成日時：2022年9月9日 20時
