Wonderland Dream (ページ18)

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『学校に行ってみたい』

薮に夢を聞かれてとっさにそう答えたけど、実際これは昔から思ってきたこと。

幼稚園のときに病気がわかってからずっと病院で過ごしてきた俺には、学校なんて関係ないって諦めてきた。

俺が行けるはずないって。

でも、口にはしないけどずっと羨ましかった。

いつも楽しそうに学校の話をしてくれる大ちゃんの話を聞いてたら、きっと学校は病院じゃできないいろんなことを体験できるところなんだろうなって。

…まあ薮はあんまり楽しくなさそうだけど笑

「…薮はさ、学校のこととかお母さんのこととかいろいろあるかもしんないけど、自分の気持ちともちゃんと向き合わなきゃダメだよ？」

「え？」

「俺とは違ってやろうと思えばなんでも自由にできるんだからさ」

「うん…」

薮はいつも、心のどこかに闇を抱えてるような顔してる。

笑ってるのに笑えてない、みたいな。

人生楽しくないですってもう顔に書いてあるもん。

「…お母さんにも言いたいことちゃんと言ったほうがいいよ」

「っ…あの人には…何言っても無駄だから、」

「伝えようとしてないだけじゃなくて？」

「…伊野尾にはわかんないよ」

そう言って、薮は俯いてしまった。

またそうやってすぐ心を閉ざすんだから…

「うん、わかんない。…でも、薮には後悔してほしくないんだ」

「後悔？」

「あのときちゃんと気持ち伝えとけばよかったって、思いたくないでしょ？」

「…なんで伊野尾がそんなこと、」

なんでこんなこと言うのかって？

だって俺は…

…伝えられなかったから。