『』 ページ7
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『___ふふっ、あーなんか気抜けた。
てか、中学一緒やったんやな』
「中3の秋から越してきた。
俺のこと知らないと思ったよ。
俺はAのこと知ってたけど」
『逆になんで私のこと知っとんよ。
クラスちゃうかったやろ?』
「全校生の前であんな強そうな表彰状と盾貰ってたら覚えるでしょ。
図書カード何円分くらいもらえたの?」
『いや、たった3000円やったんやって。
小学生の時は佳作でおんなじ金額やったのに。
人権作文より、社会を明るくする運動作文のが稼げることがわかった』
「え、すご。なんで理系クラスにいんの?」
『社会より理科のが好きやったから。
あ、でも化学は嫌い。先生が嫌い』
ふはっ、あーおもしろ、変なやつ。と
受話器の向こうで楽しそうに笑う角名くん。
その笑いは決してあのときの揶揄いとは違って、
私の心をあったかくしてくれるものだった。
「けっこう長いこと話したね。
もうそろそろ寝る?」
時計の短針は12の近くを示す。
人との電話でこんなにも時間が短く感じたのは初めてだ。
『ほんまや、遅くまでごめん。
じゃあまた明日学校で___
そう言いかけると、角名くんがわざとらしく驚いた声を出す。
「え、切っちゃうの?
彼氏とだったら電話繋げたまんま寝るでしょ」
『や、ほんまの彼氏とちゃうやん』
「えー角名くん傷ついたー。
あー指が勝手にAを拡散しようとしてるー」
『…わーい、彼氏と寝落ち通話うれしいー』
不満そうな声を漏らす角名くん。
もうちょっと棒読み感出さんと言えばよかった。
「傷ついたから慰めてよ。
下の名前呼んで慰めて」
『えと、りん、たろう?』
あーもー全然ダメ。
Aは文章良くても読むのはダメダメ。
とディスられる。
何がそんなあかんかったんやろ。
でも棒読みはしょうがない。
思ったことしか書けんのと一緒で、
思ったことしかちゃんと言えん。
思ったこと、
『___あんな、私今日角名くんのことちょっと好きになった。
正直、小説のことはそっとしといて欲しかった。
揶揄われるんが怖かったから。
やからちょっと苦手やったんやけど、
今日角名くんが言うてくれたこと、すごい嬉しかった。
ありがとう、倫太郎くん』
しばらく返事がないと思ったら、
可愛こぶってんの?と言われた。
でもその声にはもう不満の影は見られなかった。
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もじすうっ
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ツナ缶。(プロフ) - 架奈さん» ありがとうございます!優しいコメントがすごく私の励みになります…!いい作品にできるよう頑張ります! (2021年2月14日 9時) (レス) id: e17d6a7cee (このIDを非表示/違反報告)
架奈(プロフ) - 受験勉強お疲れ様です。無理しない程度に頑張ってください!更新楽しみにしています! (2021年2月13日 9時) (レス) id: 3071dcd1d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶。(プロフ) - おかか。ですかさん» 更新遅れてすみません!いつもコメントしてくださって本当に嬉しいです!受験も更新も頑張ります!! (2020年11月14日 12時) (レス) id: e4f51373a6 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶。(プロフ) - りんさん» 楽しみにしてくださっている方がいて本当に嬉しいです!受験が終わるまでは亀更新ですが、気長にお待ち下さい(>_<) (2020年11月14日 12時) (レス) id: e4f51373a6 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか(プロフ) - おー!ずっと更新待ってました!!受験頑張ってください!!月曜日楽しみに待ってます! (2020年11月14日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ缶。 | 作成日時:2020年8月15日 3時