『』 ページ4
.
「あ、ちゃんと待っててえらいね。じゃあ行こっか」
『小説のためですから、いろんな意味で。
え、行かんのん？』
読んでいた文庫本を鞄にしまって立つ。
帰る準備はできたのに、目の前の角名くんは動こうとしない。
「いや、手出してんの見えない？」
鈍いのは夢小説の主人公だけにしときな、なんて皮肉を言われる。
『え、手つなぐってこと？恥ずかしいんやけど』
「ほら、その恥ずかしいってのを経験するんでしょ」
なんて言って私の手を構わず引いて進む。
いや、せめて図書室出てからにして。
＊＊＊
「今日今から用事ある？なかったら映画でも見に行こうよ」
『特にないけど、なんでそんな唐突に』
「放課後デートとか王道じゃない？ネタ作りネタ作り」
なるほど。そーいや私、放課後デートとかしたことないな。
こんなこと言ったらどうせ揶揄われるから黙っとくけど。
「で、どう？手」
『いや文脈』
「わかるでしょ。
ほら、貴重な手つなぎ体験してんだから
試しに口頭で原稿作ってみてよ」
�犁�重な�瓩箸�、いちいち余計な飾りが私の神経を逆なでする。
角名くんてこんな腹立つやつやったっけ。
『……体の右側、彼に触れられている右手を中心に私の体の熱が集中する。
甘くて胸いっぱいの感情が、その熱に溶かされて体中に広がっていく感覚。
とても顔なんて上げられない。
俯いた視線の先に映る彼の歩幅が、私を気遣っての大きさになっていることに気づき
またさらに私の胸を心地よく締め付けた…。』
自分でもびっくりした。
今まで書けなかったようなことが、口頭でスラスラ出てくる。
「へーーAちゃんそんなこと思ってるんですかあ。
俺にキュンキュンしてんの、かわいいねえ」
『っ、ちゃうわ！フィクションなんやから大げさに盛っただけ！』
「�犲�分の体験したこと�瓩靴�書けないんでしょ？」
ニヤニヤしながらわざと顔を近づけて、指を絡めてくる。
突然の不意打ちに体が大きく跳ねた。
近づけられたその顔は、
切れ長の目にすらっとした鼻筋。
角名くんは俗にいう�猗�少年�瓩任△辰拭�
「ほほ、すぐ顔真っ赤になるよね。
まだデートの序盤なのに、大収穫ですね。
Aせんせ」
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ツナ缶。(プロフ) - 架奈さん» ありがとうございます！優しいコメントがすごく私の励みになります…！いい作品にできるよう頑張ります！ (2021年2月14日 9時) (
レス) id: e17d6a7cee (このIDを非表示/違反報告)
架奈(プロフ) - 受験勉強お疲れ様です。無理しない程度に頑張ってください！更新楽しみにしています！ (2021年2月13日 9時) (レス) id: 3071dcd1d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶。(プロフ) - おかか。ですかさん» 更新遅れてすみません！いつもコメントしてくださって本当に嬉しいです！受験も更新も頑張ります！！ (2020年11月14日 12時) (レス) id: e4f51373a6 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶。(プロフ) - りんさん» 楽しみにしてくださっている方がいて本当に嬉しいです！受験が終わるまでは亀更新ですが、気長にお待ち下さい(>_<) (2020年11月14日 12時) (レス) id: e4f51373a6 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか(プロフ) - おー！ずっと更新待ってました!!受験頑張ってください!!月曜日楽しみに待ってます！ (2020年11月14日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ツナ缶。 | 作成日時：2020年8月15日 3時
