『』 ページ15
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『どないしたん?今日部活はないん?』
「部活前に寄った。Aやったら図書室おるて小林が言いよったでな」
小林美月。私の小説のことを唯一知っている小学校からの腐れ縁。
なんやかんや言って一番一緒にいることが多い。まあ、いいやつ。
調子に乗るやろうから本人には絶対言わんけど。
『あぁ美月な。えっと、結局誰の要件?』
「要件は俺の。俺っていうか」
ん、と入口の方に目をやる治くん。
するとドアに半分身を隠しながらこちらを凝視している宮侑くんと目が合った。
「あ!?サム言うなや!!」
「うわ、めんどくさ。やったら自分で来いや」
ぐぬぬ、と眉を顰めながらも入口からは動こうとしない。
「まあええわ、これ渡してほしいんやって」
『ふーん、ありがとう。これ、何が書いたるん?』
気になった私は、治くん伝いに受け取った手紙を開けようとする。
と、あーー!あかんあかん!!と叫びながらさっきまで入口にいた侑くんが慌ててそれを阻止しに来た。
今日は私以外図書室に誰もおらんくてよかった。
『あ、ごめん。いつやったら読んでええ?』
「家とか!一人んときに読んで!!」
わかった、とこの状況は全くわかってないし混乱しとるけど
目の前の慌てふためいている宮侑くんを見てるとかろうじて落ち着いて話せる。
「あ、あんな!」
どないしたん、と聞き返す前に
先ほどまで書いていた夢小説のごとく手を握られた。
『、へ?』
「俺、角名に負けんように頑張るから!!
やから、俺のこともちゃんと見てほしいねん!!」
そのまま数秒時が止まったかと思えば、
恥ずかしさに耐えかねた宮侑くんはどこかに走って行ってしまった。
残された治くんと私。
多分今すごい顔赤い。死ぬほど熱いもん。
そんな鈍感とちゃうから、
朝の話と相まって、この手紙と今の言葉がどういうことかは察してしまった。
「らしいから、頑張りいなA」
ほんま見とるこっちが恥ずいわ、と言いながら治くんは部活に行ってしまった。
しばらく呆然としていて、なんとか少し落ち着いてきたとき、
『___とりあえず、今のセリフ採用で』
数十分越しに原稿の筆が進んだ。
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ツナ缶。(プロフ) - 架奈さん» ありがとうございます!優しいコメントがすごく私の励みになります…!いい作品にできるよう頑張ります! (2021年2月14日 9時) (レス) id: e17d6a7cee (このIDを非表示/違反報告)
架奈(プロフ) - 受験勉強お疲れ様です。無理しない程度に頑張ってください!更新楽しみにしています! (2021年2月13日 9時) (レス) id: 3071dcd1d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶。(プロフ) - おかか。ですかさん» 更新遅れてすみません!いつもコメントしてくださって本当に嬉しいです!受験も更新も頑張ります!! (2020年11月14日 12時) (レス) id: e4f51373a6 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶。(プロフ) - りんさん» 楽しみにしてくださっている方がいて本当に嬉しいです!受験が終わるまでは亀更新ですが、気長にお待ち下さい(>_<) (2020年11月14日 12時) (レス) id: e4f51373a6 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか(プロフ) - おー!ずっと更新待ってました!!受験頑張ってください!!月曜日楽しみに待ってます! (2020年11月14日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ缶。 | 作成日時:2020年8月15日 3時