『』 ページ2
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「ね、Aせんせーは彼氏とかいるの?」
げ、今日も来た。
あれから毎日角名くんが図書室に来る。
眉間にしわが寄るのが自分でもわかった。
『A先生とか辞めて。教室でそれ言ったら怒るで』
「ここでしか呼ばないって。で、彼氏は?」
おらんけど。と答えると、間髪入れずやっぱりと笑う。
『やっぱりって失礼すぎん?』
「別に偏見で言ってるわけじゃないよ」
目線はスマホのまま、指先で画面をいじりながら淡々と話す。
偏見じゃなかったらなんやねん。
去年クラス違うのに。
「なんでって顔してるね。
小野の夢小説って付き合って完結ばっかじゃん。
彼氏いないから、付き合った後のイチャイチャシーン書けないんでしょ」
かっちーーーーん。
でも、図星であるからなにも言い返せない。
机上のノートから目線を動かさずにガン無視を決め込んだ。
私と角名くんは普通のクラスメイトである。
会ったら挨拶をする、二人になったら他愛ない会話を交わす。
まったくの他人ではないが、特別親しいわけでもなかった。
だから余計に不思議だ。
ただのクラスメイトくんに、趣味で夢小説を書いていることがなぜバレたのか。
昔から文字を読むことが好きだった。
新しい言葉を知るのことが面白かった。
自分で何かを創りたいという意欲があった。
そんなこと彼に話したことなんてない。
逆に、彼の趣味や興味のあることなんて何も知らない。
バレー部のレギュラー、それくらい。
他なんかあったかなあ、と考えを巡らせる、
と、その瞬間、耳元でささやかれた言葉によってその思考はぶっ壊された。
「ね、俺と付き合ってみる?いい小説書けるかもよ」
『え?、っわ!』
反射的に角名くんのほうに向けた顔は思いのほか近くて、
慌てて椅子ごと後ずさった。
「やっとこっち向いた。
ほほ、顔真っ赤。そりゃあんなピュアピュア小説になるわけだ。
俺がAせんせーを一人前にしてあげる」
こんな急展開、私は絶対に書かない。
今日、角名くんが勝手に彼氏になりました。
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ツナ缶。(プロフ) - 架奈さん» ありがとうございます!優しいコメントがすごく私の励みになります…!いい作品にできるよう頑張ります! (2021年2月14日 9時) (レス) id: e17d6a7cee (このIDを非表示/違反報告)
架奈(プロフ) - 受験勉強お疲れ様です。無理しない程度に頑張ってください!更新楽しみにしています! (2021年2月13日 9時) (レス) id: 3071dcd1d5 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶。(プロフ) - おかか。ですかさん» 更新遅れてすみません!いつもコメントしてくださって本当に嬉しいです!受験も更新も頑張ります!! (2020年11月14日 12時) (レス) id: e4f51373a6 (このIDを非表示/違反報告)
ツナ缶。(プロフ) - りんさん» 楽しみにしてくださっている方がいて本当に嬉しいです!受験が終わるまでは亀更新ですが、気長にお待ち下さい(>_<) (2020年11月14日 12時) (レス) id: e4f51373a6 (このIDを非表示/違反報告)
おかか。ですか(プロフ) - おー!ずっと更新待ってました!!受験頑張ってください!!月曜日楽しみに待ってます! (2020年11月14日 9時) (レス) id: 0ecde9d0b0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ツナ缶。 | 作成日時:2020年8月15日 3時