第5話──一年前 ページ7
*あろま side*
連れてこられた場所には、まだ腐敗しきっていない死体がごろごろと転がっていた。
それらを見て、すぐに違和感に気付く。
あ「何だこれ…肉が……」
まるで何かに食いちぎられたように、肉が一部無くなっている。
朱乃「───私が食べたんです」
振り向くと、朱乃は薄く笑みを浮かべていた。
朱乃「最初に母を食べました。次に父を食べました。それでも全然足りなくて……町の人たちの死体を掻き集めて、食べました」
彼女の瞳から、涙が一筋流れ落ちる。
朱乃「最低ですよね、私。自分が生き延びるために、家族を、町の人を……。私は、許されない事をしました」
笑みを浮かべたまま、涙を流したまま、彼女は俺に向けてこう告げた。
朱乃「───私を、殺してください」
ドクン、と心臓が大きく跳ねる。
朱乃「……わかってます、出会ったばかりの人に頼むべき事じゃないって。でも……ずっと待ってたんです。私はきっと……生きてちゃダメだから」
……別に、こいつが死のうが俺には関係無い。
だが……このまま死なれたら、このまま殺してしまったら、すっきりしない部分があった。
あ「……お前、死にたいならなんで逃げてた？」
朱乃「え……？」
朱乃の顔から笑みが消え、驚きの表情が浮かぶ。
あ「あのままヤツらに殺してもらえば良かったじゃねぇか。なのに……なんで必死になって逃げてたんだよ」
朱乃「そ、それはっ……」
言い
あ「答えは簡単だ。───生きたいんだよ、お前は」
朱乃「っ……！！ ち、違っ…私は……！」
あ「一週間も人肉食って生き延びた奴が、死にたがりなわけねぇだろ。許されないだとか生きてちゃダメだからだとか……くだらねぇ。どんな事をしてでも生きたかった。……違うか？」
朱乃「わ、私…は……」
朱乃の目から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
朱乃「生き、たい…ただ、生きたかったっ……！！」
その一言が、俺の望んでいたものだったのかもしれない。
あ「……なぁ、知ってるか？」
泣き崩れる朱乃に向けて、口を開く。
あ「兵士に必要な人間ってのはな、死ぬ覚悟ができてる奴じゃねぇ。───何が何でも生き延びる覚悟を持った奴だ」
恐る恐る顔を上げる少女に、俺はニヤリと笑ってこう言った。
あ「気に入ったぜ、お前。俺と一緒に来い」
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来衣(プロフ) - 空文 晴霧さん» もちろんです！応援させていただきますよ！ (2020年5月23日 23時) (
レス) id: 21cb172704 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - 来衣さん» お待たせいたしました！ これからも応援よろしくお願いしますm(_ _)m (2020年5月23日 9時) (レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
来衣(プロフ) - 更新ありがとうございます！待ってました！これからも応援させていただきます！ (2020年5月23日 4時) (レス) id: 21cb172704 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - 来衣さん» ありがとうございます！ 気長に待っていただければ幸いですm(_ _)m (2020年3月7日 10時) (レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
来衣(プロフ) - 再会を楽しみに待たせて頂きます！！ (2020年3月7日 0時) (レス) id: 08ea9bf164 (このIDを非表示/違反報告)
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