第10話 ページ12
*朱乃 side*
鍛練場に着くなり、私は隊長と向かい合った。
あ「ルールの確認な。朱乃がえおえおにナイフを当てれた時点で、勝ちとする。制限時間は……そうだな、10分間でどうだ？」
え「俺は問題無し」
朱乃「わ、私も大丈夫です！」
近接戦……やるのは初めてだけど、今まであろまさんと隊長の模擬戦を何度も見てきたんだ。ただでは終わらせたくない。
あ「それでは……始めっ！！」
あろまさんの声がかかるなり、一気に駆け出した。
そして、おもむろにナイフを突き出す。
が、当然のごとくかわされてしまった。
え「真正面から来すぎ…w」
朱乃「こ、今度こそ！」
めげずに、私は再びナイフを振った。
あ「残り5分！！」
気付けば半分を切っていたが、未だに
朱乃「ま……まだまだぁ！」
バッとナイフを振り上げた、その瞬間。
え「あ、わかった」
そう呟いたかと思うと、隊長はナイフをガッと掴んだ。
朱乃「えっ……!? ひゃあ！」
バランスを崩しそうになった私を、隊長が支えてくれる。
え「中断。やっとわかったよ、違和感の正体」
朱乃「い、違和感……？」
ぱちくりと瞬きして隊長を見上げると、あろまさんが私を隊長から引き剥がした。
え「あれ、嫉妬？」
あ「黙れ。んで、違和感って何の事だよ」
私の首根っこを掴んだまま、あろまさんが少し不機嫌そうにそう尋ねる。
え「あぁ、うん。最初からナイフの振り方に違和感覚えてたんだけど、今の振り上げ方を見て確信した」
そう言うと隊長は、鍛練場に備え付けられている模擬刀の中から一つを持ってきて、私に差し出した。
え「朱乃には、こっちの方が合ってるみたい」
それは───
朱乃「日本…刀……？」
そう。ちょうどあろまさんが愛用しているような型の模擬刀だった。
え「よっぽどあろまの太刀筋見てたんだろうな。未熟なところが相まって、昔のあろまを見てるみたいだった」
朱乃「え……」
私、無意識にあろまさんばっかり見てたって事……？
あ「……本気で言ってんのか？ えおえお」
え「化けるよ、こいつは。ちゃんと鍛えないともったいないぞ、あろま」
手渡された模擬刀を、まじまじと見つめる。
……これなら、私も強くなれるかな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
来衣(プロフ) - 空文 晴霧さん» もちろんです！応援させていただきますよ！ (2020年5月23日 23時) (
レス) id: 21cb172704 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - 来衣さん» お待たせいたしました！ これからも応援よろしくお願いしますm(_ _)m (2020年5月23日 9時) (レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
来衣(プロフ) - 更新ありがとうございます！待ってました！これからも応援させていただきます！ (2020年5月23日 4時) (レス) id: 21cb172704 (このIDを非表示/違反報告)
空文 晴霧(プロフ) - 来衣さん» ありがとうございます！ 気長に待っていただければ幸いですm(_ _)m (2020年3月7日 10時) (レス) id: 9bc8a66818 (このIDを非表示/違反報告)
来衣(プロフ) - 再会を楽しみに待たせて頂きます！！ (2020年3月7日 0時) (レス) id: 08ea9bf164 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
