ずっと好きです！ 太宰さん！【文スト】

７９．正しい記憶 ページ5

『——私、とハルテくんはどういった関係ですか？』

　蜷場ハルテはAの隣にぴったりとくっついて座っていた。しかも寝台の上ときた。距離感がおかしいという事は、いくらAでも解った。
　蜷場は内心笑みが止まらなかった。

　もう少しだ......！
　頬を軽くかき、わざとらしくもみえる仕草で、蜷場は照れてみせた。

「僕とAは、幼馴染だよ。それで――恋人、なんだ」

　Aは蜷場に違和感を感じる前に、"恋人"という単語に気を取られていた。太宰という、唯一無二の想い人の存在がない今、Aは好意に対して無防備である。

　そして――

『そっかぁ......、そうだったね！』

　記憶の抜けた部分を補完する、新たな正しい(・・・)記憶として、この噓は十分だった。なぜなら、Aはこれまでずっと、太宰(好きな人)を想いながら生きてきたのだから。

「そうだ、Aに伝えないといけないことがあったんだ。他の質問の前に、聞いてくれる？」

『うん！』

———
オリキャラ蜷場に敵意ましましな作者を感じていただければ幸いです。 サヤカ
次回更新予定日：3月４日

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