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経験 ページ6
それから数ヶ月。
私達稲実は順調に駒を進め、甲子園に出場することが決まった。
私は記録員としてベンチに入った。
怪物ルーキー
1年生からはそう呼ばれ、その名を全国に知らしめた成宮鳴がベンチ入りした。
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3回戦
試合終盤でマウンドに立った鳴。
誰もが息を飲んだであろう。
まさかの大暴投。
これにより1点が追加され、
野手陣はこの1点を返すことが出来ず敗れた。
私はベンチからその様子を見守ることしか出来なかった。
マウンドで泣いている鳴を。
みんなを。
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その1週間後。
新チーム始動から数日。
部員は成宮のことばかり話している。
甲子園から帰ってから部屋から出てこないのだ。
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コンコンコン
A 鳴ー！入るよー！
一応雅さんに様子を見てくるよう言われ、鳴の部屋に行った。
返事がなかったのでそろっとドアを開ける。
真っ暗な部屋でベットで俯く影。
そりゃそうだよね。大事な場面でも大暴投はすごくショックだと思う。
でも負けたのは鳴のせいじゃない。
みんなもそう言ってる。
A 大丈夫？さすがにあれだからおにぎり持ってきたよ。
鳴 …
微動だにしないけど拒否はされてないからおにぎりを置いて「また来るね」とだけ言って部屋を出た。
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鳴は絶対新チームでも必要な戦力だろうから、少しでも心のダメージが減ったらいいな、そう思いながらグラウンドに戻る。
鳴のことばかり気にしてはいられない。
今はみんなを見ないと。
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作者名：ゆめ | 作成日時：2022年8月16日 20時
