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↑続編【snow】*下 ページ28

零の記憶が戻らないまま



2度目の冬が来た





私との思い出が雪のように消え



私と零の関係が変わった







窓の外を見ると雪が降り始めていた
しばらく見ていたら頭に何かが当たって振り返る


「桜井、勤務中だ。集中しろ」

『れ、降谷さん…』


降谷さんは紙束を持っていて「上に行ってくる」と言ってオフィスから出ていった
彼の後ろ姿が見えなくなるまで見ていたら、今度は風見さんに声をかけられた


「大丈夫か?」

『はい…もう慣れました』


心配してくれた風見さんに精一杯の笑顔を向けると「無理はするな」と更に心配された



定時になり風見さんとオフィスから出る
エレベーターに乗って他愛もない話をしながら外へ出ると降谷さんが腕を組んで壁にもたれ掛かっていた


「送っていく」

『…大丈夫です。一人でも帰れますよ』


降谷さんは私の言葉を聞かずに手を掴んで駐車場へ向かうので風見さんに頭を下げて別れる

彼の愛車に乗せられ見慣れた道を走る
会話は無く時間だけが流れていく


『送って頂いてありがとうございます』

「…桜井」


私のマンションに着くと彼は車から降りて助手席のドアを開けてくれた
お礼を言って外に出ると何か言いたそうに口を開くが黙ったまま下を向いた


『おやすみなさい』

「…ああ、おやすみ」


空気が冷たくてその場から逃げるように別れを口にして急いでマンションへ入った









あの雪の日から降谷さんは私に会うと必ず声を掛けてくれるようになった

思い出したのかと思ったけれど違うみたいで戸惑いながら言葉を選びながら、哀しそうな顔をして私を見る








白い雪が降ったあの日


青いベンチのある公園で降谷さんに抱きしめられた
久しぶりに感じた彼の体温に吐息に息苦しくなる






胸が痛くて苦しくて





『零』





彼の名前を何度も呼んで



彼の胸に顔を埋めて泣いた





恋人だった事も


愛を誓い合った事も


私がいたことも



消えてしまった記憶





「俺が(人1)を幸せにする」





しばらくしたら抱きしめる力が緩まり彼を見上げると頭を抱えて痛みに耐えるように私の右手を握った





「桜井、すまない」





その言葉に現実に戻る





白い雪は冷たくて



心がずきずきと痛む









もう彼の記憶は戻らない









白い雪にのせた願いは





溶けて消えた









『それでも愛してるよ』

【FBIの妹】*1→←↑続編【snow】*上



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設定タグ:名探偵コナン , 降谷零 , 安室透   
作品ジャンル:アニメ
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(プロフ) - りんさん» りんさんいつもありがとうございます(*´ヮ`*) (2017年9月20日 17時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 結愛シリーズ も話が面白いです続き楽しみにしてます (2017年9月19日 23時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - りんさん» ありがとうございます笑更新遅くなりますけど続きも楽しみにしていてくれると嬉しいです( *´艸`) (2017年8月25日 10時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - Σ(゚Д゚ノ)ノ最高!!妄想が進む!! (2017年8月24日 12時) (レス) id: 5016550d2e (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - りんさん» 小学生の降谷さん……いいですね。絶対かわいいです。作ってみます! (2017年8月23日 22時) (レス) id: d461347606 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2017年8月21日 0時

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