降谷零 中編小説＊3

【スモーク】＊下※シナリオアートさんのチェーンスモークより※ ページ13

夢みる理由が分からなくなった



煙のように消えていく時間



黒と白の鎖に繋がれた僕と俺









感傷



とめどなく



焦燥



こぼれてく





吐き出して吸い込んだ









『(人1)』









口にした言葉は静寂に飲み込まれる









暗闇の中
愛車の窓から見える空を見上げる



雲の隙間から覗く月は
彼女の心のようで
淡く俺の心を照らす



彼女と
ずっと笑っていられたなら
俺は幸せだろう





求めすぎて
近づき過ぎた





部屋の明かりも着けずにソファに寝そべる
カーテンから零れる月明かりに視線を向けた









『明日も雨ならいい』









あの頃に戻りたい



いつもみたいに夢を語って

好きな酒で飲み明かして

バカみたいに騒いで



もう一度朝焼けを一緒に迎えたい









『すまない』









彼女が笑っていられるように
守りたい



何度も
彼女との未来に夢をみた



偽りだらけの僕と
嘘をついた俺は



真面目な彼女を傷つけた









『なんて言えば良かった？』









彼女への気持ちを誤魔化して



突き放したのは俺なのに









『(人1)』









目を閉じ顔を腕で覆った





何も見たくない

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