降谷零 中編小説＊3

【未来と夢】＊上※Mr.ChildrenのHANABIより※ ページ1

手にしたものと



「安室透」



引き換えにして





切り捨てたものに



「バーボン」



いちいち憂いていられるほど平和な世界ではない





どんな理想を描いたらいい？
どんな希望を抱き進んだらいい？


その問い掛けに彼女はどう答えるだろう

きっと『暗いよ』と茶化して笑うだろうな









彼女のあの柔らかな笑顔に触れると
憂鬱が吹き飛んで前に未来に進める



「次の組織のターゲットはー」



考えすぎで言葉が詰まるそんな不器用さが嫌いで
でも、妙に器用に立ち振る舞う自分はそれ以上に嫌いだ



笑っていても
泣いていても



彼女がいなくてもゆっくりと時間は流れ



いつの間にか17年が経った



この先にあるのは

彼女に訪れる事のない未来





「降谷さん大丈夫ですか？」

「ああ、問題ない」



公安の会議が終わり街を歩く

人通りの多い道に見慣れた制服を着た女子高生が男とぶつかり転びそうになっていて反射的に腕を掴み支える

俺の胸に倒れた彼女は慌てて離れ、頭を下げてお礼を言う
彼女は俺の目を見ると柔らかな笑顔を向けた





『綺麗な目の色ですね！』









そう言うと



君は私の腕を掴む手に力を入れて

青い瞳を大きく開け私を見る



君の口許は微かに動いて

声にならない言葉を紡ぐ

【未来と夢】＊中→

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