神田ユウ中編小説 (ページ38)

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≪フリージア≫＊「フリージア」ページ38

散っていった絆と
抱えきれない傷

不安や恐怖で
怯えて

一人で泣いてた日々に

不器用な優しさと光をくれた彼に
溢れ出した涙に

今を生きることを決意して

これからの未来をみんなと誓い合った

本部に帰還する途中にノアに襲われ
リナリーと二人で対峙する

『リナリー行って、あいつは私がやる』

必死に「一緒に戦う」と言うリナリーに
首を横に振って、応援要請を頼む。

『巻き込まない自信ないの。お願い』

『私のイノセンスは危険だから…それに私は強いから』と強い眼差しでリナリーの目を見て言う。

「っ……すぐに戻ってくるから！絶対負けたらダメだからね！！」

みんなの為に生きることを

みんなの為に強くなることを

あの日誓った

だから

『負けないよ』

抱き締めてくれた人がいた

手を差し伸べてくれた人がいた

家族だと言ってくれた人がいた

「最後の挨拶はすんダノカ？」

『あんたを倒して私は進む』

リナリーが離れたことを確認して
手袋を外し、革靴を脱ぐ

私が触れた場所は電気を帯びる

雷

掌からビリビリと電気が放出され
私は短剣を構えた

雷電した私の体ごとノアの懐へ飛び込んだ

『イノセンス……最大限解放！！』

目指す場所がある

彼とみんなと
一緒に辿り着きたい

AKUMAもイノセンスもない世界へ

いつか辿り着けると信じて前へ進む

いつの間にか

雨が降り出し雷雨になる
激しい雷鳴と稲妻が起こる

雷はノアを襲う

黄色い花は黒く染まっていく

雷雨が止み
青い空が見える

ノアは倒れ(人1)は空を見上げる

『なんでかな……』

初めて彼にあった日のことを思い出す

私に光をくれた

私に生きる力をくれた

私に散ることのない絆をくれた

『ユウ…』

(人1)は腹部を押さえながら前へ進む
流れた血は地面に染みる

『生きるよ…約束したから』

足が動かなくなりその場に倒れる
体の感覚も痛みも感じなくなって

『やくそく守れそうに…ないやぁ…』

声が出なくなって
目が霞んで瞼が重くなる

倒れた場所に一輪の花が咲いていた
私の手が触れても枯れない花

『……いきて…すすんで…』

最後に見えたのは

初めて彼に会った場所に咲いていた

甘く酸っぱい香りがする

黄色い花

「お前みたいな花だな」

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Uruさんの「フリージア」の歌詞を少し頂きました

いい曲です