【過ち】*中 ページ29
友達を家族を大切な人達をもしかしたら……
本部に北米支部長のレニー・エプスタインが、室長室に鴉を二人連れて来た。
本部支部長のコムイ・リーとアジア支部長のバク・チャンとバクに連れられ(人1)もレニーの話を聞いた。
第三使徒計画
アメリカ北米支部で行っている実験
AKUMA卵核との融合に成功した母胎
それを"第一母胎"と呼びその細胞を人間に埋め込み
人体生成により半AKUMA化させる
細胞はAKUMAを吸収することで増幅する
母胎化した人間は神へ捧げられ
その細胞で新たなサードを生む
そうして
対AKUMA戦力は拡大し世界救済の礎となる
その計画を聞きコムイ室長は険しい顔を、バク支部長はレニー支部長を責めた。(人1)は痛む両腕を押さえながら目を瞑る。
「なぜまた…9年前のあの"惨劇"を忘れたのか!!」
『……どうして』
「…(人1)。あなたなら分かってくれるわよね?"エクソシスト"であるあなたなら」
レベル4の襲撃によって本部は大きな被害を受けた
エクソシストが全員揃っていたのに大勢の犠牲者を出してしまった。
本部は建て直すことが出来ずに新しい本部へ移ることに決定した。
皆が限界を絶望を感じたのは確かだ。
「人間が悪魔に勝つには代償も必要だわ」
"代償"
また悲劇を繰り返す
数日後
アジア支部にはズゥに呼ばれた神田ユウが訪れた。
バクは感情任せに神田に謝罪する。
「また、はじめたんだな…」
『……ごめんなさい』
貴方とした誓いを私達は破ってしまった。
「謝る必要なんざねーよ
教団がどうなろうが俺にはどうだっていいことだ」
"どうだっていい"貴方はそうでも
私達はそうはいかない
「第二エクソシストなどという幻想に囚われ
大きな過ちを犯したのはボク達のチャン家とレニーのエプスタイン一族なのだから…っ」
喉の奥が熱くなる。
呼吸が出来なくなって、視界が霞む。
泣きたいのはユウのはずなのに
私はまた何も出来なかった
レニーを止めることも
実験を止めさせることも
もし私がエクソシストではなく、科学者として生きていたらレニーさんと同じ選択をしたのだろうか。
この手を黒く染め
人との信頼を断ち切って
心を閉ざして
過去の過ちを繰り返す
目を閉じて浮かぶのは
満面の笑みで笑うアルマ
と
照れたように笑うユウ
あの頃の笑顔はもう取り戻せない
私達の過ちは許されるものではない
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作者名:憂 | 作成日時:2016年10月30日 21時