【両片想い】 ページ27
視線の先にいるのは
いつもあいつで
いつもあなたで
ふいに目が合う瞬間に
温かさを感じる
幸せを感じる
この気持ちと
この言葉を
知ってしまってから
熱い想いが込み上げてくる
同時に
知りたくもないことまで
胸の中を埋め尽くしていく
いつもそうだ
いつもそう
あいつは笑ってる
あなたは無愛想
辛いときも悲しいときも笑顔で だけど
感情なんてないみたいに振る舞うけれど
本当は隠れて泣いている
本当はすごく仲間想いなの
分かってる
知ってるよ
モヤシみたいに人と距離をとっていることも
リナリーと同じで一人で抱え込もうとすることも
『笑って』
「笑うな」
無茶なこと言うな
難しいこと言わないでよ
生きていく為に覚えたことは
簡単には変えられない
お互いに気持ちを隠しながら
背中を合わせて
お互いを助け庇い合う
お互いの過去なんて知らない
知る必要もない
お互い気持ちは通じてる
目が合うだけで
わかる
わかっちゃう
『前は任せろ』
『後ろは任せて』
あいつは遠距離戦で
あなたは接近戦で
俺を援護する
私を護ってくれる
戦闘ではあいつを護れる
戦いでは背中を預けてくれる
だけど
あいつにはモヤシがいて
あなたにはリナリーがいて
『アレーンこのケーキ美味しいよ！』
「リナ髪紐寄こせ」
モヤシと師匠が同じで
リナリーと幼馴染みで
俺には見せたことのない照れた顔で
私が聴いたことのない優しい声で
モヤシが羨ましく感じてる
リナリーに嫉妬してる
仲良しな二人を
見ては
入り込めないと
気づいてしまった気持ちに
蓋をして
言いかけてしまう言葉を
飲み込んで
二人に幸せをと願う
交わる視線には
熱い想いが込められているのを
知っている
その熱に
自惚れてしまいそうになる
この気持ちを
知らないふりをする
知らなくていい
知られたくない
だから
伝えない
伝えられない
この想いも
この言葉も
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作者名：憂 | 作成日時：2016年10月30日 21時
