神田ユウ中編小説 (ページ3)

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↑続編《嘘つき》＊上ページ3

崩壊した廃墟の階段に一人の女が腰掛けていた。

不自然に崩れた家
所々に散らばっている血痕
奇怪な姿をした化物があちらこちらにいる

『退屈……』

女が呟くとこちらに気付いた化物…AKUMAが女に近づき膝まずくと声をかける

「(人1)様……もう少しお待ちクダサイ。すぐにイノセンスを見つけダシマス」
『何もここまで壊すことないでしょ？探すのが大変になるじゃない』

昨晩の事を思い出しながら(人1)は悪態をつく。

逃げ惑う人間達
AKUMAの奇声
燃え盛る町

イノセンスがこの町にあると千年公に言われ壊しに来たが中々見つからず。苛立ちが増す。
黒の教団の探索部隊を6人見つけたが皆死んでいて手がかりが殆どない。

(人1)は目の前にいるAKUMAの左手を見て口許を緩める

『……その左手の銃で私を撃ちなさい』

AKUMAは「イヤだイヤだ」と言いながらも命令には従わなければいけない。震える手で(人1)の額に銃を向ける。
AKUMAがノアに危害を加えたり、ノアに歯向かうと自爆するように作られているのを知りながら退屈しのぎにいい放つ。

『さようなら』

そう(人1)が言う前に目の前が爆発する

唖然と目を見開き前を見ると長髪の男が刀を鞘に戻していた。私がノアだということには気付いていないようで「この町の生き残りか」と質問され頷いた。

隙を見て殺してしまおうか……

だがそれは出来なかった。

不機嫌そうな顔で、不器用な態度で、乱暴な言葉で
私に手を伸ばして立ち上がらせる

真っ直ぐな目で私を見ている貴方から
目が逸らせなくて息を飲む

声をかけられているけれど何も頭に入ってこなくて
貴方の低い声だけがこだまする

心臓がドクドクと高鳴る

長髪の男の後ろから白髪の少年が現れ二人で話始める
白髪の少年の手の中にあるものに目が行く。

イノセンス…

(人1)は引かれるようにそれに手を伸ばすと輝き出す
手が触れると一瞬弾け手首に巻き付いていく。

イノセンスが選んだ人間は適合者になりエクソシストになる。
私は人間でノアで……
あり得るはずがないけれど、私は知ってる。

あぁ、"私"は知ってる。この感覚を。
あぁ、"私"は知ってる。このイノセンスの名前を。

『……』

(人1)の声は音にならずに消えていく。

私はノア

貴方はエクソシスト

叶わない

願ってはいけない

分かっているから

だから心に蓋をする

嘘で固めて

塗り潰して

大好きな貴方を

壊さないように