神田ユウ中編小説 (ページ13)

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【いつの間にか】＊下ページ13

駆け寄ろうとした私の足は途中で止まり、その前にアレンくんが立つ。

「彼はノアです。人間だけど人間じゃない。僕らの敵です。」

「…ティキ・ミック」

そう言ったアレンくんの顔は辛そうで本当は戦いたくないと感じてしまう。
アレンくんは彼に剣を向けて彼の名前を呼ぶ。

彼は私達のエクソシストの敵で、教団に来る前の私の恋人。

『神田くんは知ってたの？』

「…1度会った」

『ティキ…』

「お前はリナとAKUMAを殺れ」

神田くんは私の頭を撫でて、ティキの元へ。

戦いが激化した。
AKUMAもレベル3が多くなってきてリナリーは教団に増援要請をして、アレンくんと神田くんは余裕のティキに苦戦している。

気がつくとリナリーと離されてしまった。
今ここで単独行動をしたら危なくて、AKUMAを壊しながら近くの廃墟へ入ると、ゴーレムでリナリーと連絡を取る。
ノイズが酷く、途切れ途切れの言葉を繋げてお互い何処に居るのか確かめる。

「久しぶりだな。あの頃よりも綺麗になったか？」

『…ティキ』

窓から彼が現れ、私の頭の中は真っ白になる。

神田くん達は？
私の事覚えてるの？

逆光で彼の顔は見えない。

ティキは靴を鳴らしながら私に近づく。

一歩。

一歩。

あの頃と同じように沢山の言葉を並べながら…。

心臓がうるさくて、瞳からは涙が溢れて、体が震える。

彼に会ってこんな気持ちになるなんて私は馬鹿なんだろう。

「俺に会えて嬉しいか？」
『…わた…しは』

ティキの手が後少しで私の頬を撫でる時に、背中に温もりを感じた。

いつも感じてるあなたの体温。

『…かん…だくん？』

「テメェにこいつは渡さねェ。こいつがどう思おうとな…」

さっきまでうるさかった心臓が心地いい音色に変わる。

涙も止まって、体の震えもなくなる。

あぁ、やっぱりだ。

「(人1)は俺の女だ。」

私は

いつの間にか

神田くんを

愛していたんだ。