怒りと不安。02 ページ5
「あそこ……」
「ああ……ティーチだ」
遠目でも分かる。ぽっちゃりとした身体にくしゃくしゃのボリュームのある黒い髪は見間違えようがない。ティーチの周りには四人の男と一匹の馬がいる。突き上げる海流の時はティーチにばかり目が行ってあまり分からなかったが、皆個性的な体格をしている。
首をぐるりと曲げて背中に乗るエースと一度目を合わせてから、一気に下降した。建物の上へ静かに着地する。ティーチ達はまだ此方に気付いていないようだ。新聞を片手に仲間と一緒に笑い、なにやら行き先が決まったのか出航の準備をしろ！と叫んでいる。
そのまま港の方へと歩き出したティーチ達にエースが声をかけた。
「おい、待てよティーチ。探したぞ……！！」
「おお……Aに……エース…………隊長……！」
ティーチ達は一斉にこちらを見上げ、驚いたように目を見開いて、やや間を置いてからエースに隊長をつけた。エースはティーチに"隊長"と呼ばれた事が気に食わなかったらしく、不愉快そうに顔を顰める。
「よせ……今更"隊長"なんて……そういうのは人を敬える奴が使う言葉だ……」
馬鹿にしてやがる、とエースは吐き捨てた。ティーチの仲間の一人のステッキを持った細身の男が興味深そうに此方を見上げ、口を開く。
「ほう、貴方方が……かの"火拳のエース"に"白銀の龍"」
「ああそうだ、よろしくな」
「…………、」
ステッキの男はシルクハットのつばを指先で摘み、僅かに帽子を上げて軽く腰を曲げる。エースはそれに短い挨拶を返したが、俺は何も言わずにその男を見つめた。丁寧な物腰ではあるが、男の纏う雰囲気は恐ろしいほど不気味だ。
恐らくティーチから聞いたのだろうと思うが、俺のことも知っているようだ。
「……お前ももう、立派に船長やってんだろ……？」
"黒ひげ海賊団"マーシャル・Ｄ・ティーチ船長。エースがティーチの名をフルネームで呼ぶ。他人行儀なその呼び方にティーチは可笑しそうに笑った。
「ゼハハハハ……何だよエース、久しぶりだな！！どうしたんだ！？何故、此処が分かった！！」
「何だよ……！どの面下げて――」
「A」
今更仲間のような態度をとるティーチにAは怒りで反射的に口を開いたが、エースに手で制される。目の前に伸ばされた太い腕に開きかけた口を閉ざした。怒りをぐっと堪え、眉間にシワを寄せてティーチを睨んだ。
ティーチはAの視線に少し肩を竦めた。
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1(プロフ) - × ×さん» お読みいただきありがとうございます！ここからは展開がとても早くて、もうちょっとでラストです(*^^*) (2021年4月19日 20時) (
レス) id: d447c4ab55 (このIDを非表示/違反報告)
× ×(プロフ) - 二日遅れてしまいましたけど、読ませていただきました！ここから展開がどうなるのかワクワクドキドキです！ (2021年4月16日 10時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
1(プロフ) - × ×さん» コメントありがとうございます！とても励みになります(*^^*)本日更新致しましたのでぜひ読んでいただけると幸いです！ (2021年4月14日 19時) (レス) id: d447c4ab55 (このIDを非表示/違反報告)
× ×(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみに待ってます-_-b (2021年4月13日 2時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：1 | 作成日時：2021年4月9日 0時
