傷だらけの帰還。02 ページ17
ようやっと小さかったモビーディック号が大きく見えてきた。もう二十メートルといったところだろう。見つけてから随分時間が掛かったが、漸くだ。身体に鞭打ちラストスパートをかけて一気にモビーディック号へと近づいた。
甲板では船員達が思い思いのところでのんびりと過ごしている。手合わせをしている青と赤の髪の二人はビルとメラだろう。
その変わらぬモビーディック号の光景に身体が安心してしまったのか翼が動かなくなり一気に落下する。幾つかの横帆を突き破りながら、Aは甲板の円形の広場の中央へ叩きつけられた。
「がはっ……」
衝撃で血が甲板にべしゃりと飛び散る。ドラゴンの姿をしていてもひどい怪我のせいで鋭い痛みが身体を突き刺した。突然のAの帰還になんだなんだと船上は慌しくなり、船員が中央へと駆けつけてくる。何とか身体を起こし、変化を解く。身体は血で濡れ、真っ赤に染まっていた。
「A……ッ！？お前！大丈夫かよい！」
集まる船員を押しのけ、真っ先にAに駆け寄ってきたのはマルコだった。
見たこともないくらい必死な表情を浮かべ、前に倒れこみかけたAの身体を支える。
「たい、ちょ……、エース、が……エースが！ティーチに……！！」
止まっていた涙がぼたぼたと溢れ出す。あれほど泣いたというのに、マルコの顔を見たら涙が出てきた。
「エースを……たすけて、げほ……」
「分かった、分かってるよい！……早く担架持ってこい！後、船医呼べよい！」
Aの掠れた言葉にマルコは深く頷き、そして周りにいる船員に怒鳴るように指示を出す。ばたばたと船内へと飛び込んでいく船員にマルコはイライラした様子で舌打ちをした。
「……おれ、エースを、まもれながっだ……！」
一番近くにいたのに。マルコの上着の裾を握り締めて俺は嗚咽を漏らす。身代わりになることもできずに、自分だけおめおめと船へと舞い戻った。
「お前が帰ってきてくれただけで今は充分だい……ゆっくり休んで傷を癒せよい」
ぎゅうと抱きしめられ、あやすように背中を優しく叩かれる。
「……う"ん、」
マルコの言葉に俺は何度も首を上下に動かして頷いた。
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1(プロフ) - × ×さん» お読みいただきありがとうございます！ここからは展開がとても早くて、もうちょっとでラストです(*^^*) (2021年4月19日 20時) (
レス) id: d447c4ab55 (このIDを非表示/違反報告)
× ×(プロフ) - 二日遅れてしまいましたけど、読ませていただきました！ここから展開がどうなるのかワクワクドキドキです！ (2021年4月16日 10時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
1(プロフ) - × ×さん» コメントありがとうございます！とても励みになります(*^^*)本日更新致しましたのでぜひ読んでいただけると幸いです！ (2021年4月14日 19時) (レス) id: d447c4ab55 (このIDを非表示/違反報告)
× ×(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみに待ってます-_-b (2021年4月13日 2時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：1 | 作成日時：2021年4月9日 0時
