誰よりも大切だから。02 ページ21
「作戦会議は？」
「終わったよい」
Aは立てた膝を両手で抱えながら、ふぅんと曖昧に頷いて隣のマルコを横目で見た。マルコは胡坐をかき、目を細めて水平線を眺めている。つられるようにAもそちらを向いた。海が太陽光を浴びてキラキラと輝き、潮風が二人の間を吹き抜けていく。
「――白ひげ傘下の海賊団と連携をとって、海軍本部を叩く」
突然話し出したマルコの言葉に一瞬ぽかんとしたが、それが作戦会議の内容なんだとすぐに理解した。四皇である白ひげの傘下にいる海賊団は少なくない。普通の航海では合流することなんてほぼないためAは会った事はないのだが、話はちらちら耳にした事がある。
大渦蜘蛛海賊団とか、女の人が船長の海賊団とかあった気がするが、定かではない。ううん、と首をかしげているとマルコが苦笑した。
「傘下の海賊が引き付けている間に俺らはコーティング船で本部の内側へ入り込む」
「コーティング船？」
聞き返すとマルコが呆れたようにため息を吐く。仕方なく、といった様子でマルコはコーティング船について説明をしてくれた。何だかんだでマルコは面倒見が良い。
コーティング船とは通常深海にある魚人島に行くために特殊な泡を船につけて海中を進めるようにした船らしい。今回は海軍本部を奇襲するためにコーティング船を使うという。
「ほへー……」
この帆船で海中を進むだなんて想像もつかない。船首から見る風景も海中ならまた違って見えてくるのだろう。考えるだけでもわくわくとしてくる。こんな事態でなければ、素直に楽しめたのに。
「俺たちは敵陣のど真ん中に突っ込むんだい。それなりの危険は覚悟しとけよい」
「うん、分かった。マルコ隊長」
敵陣の真ん中に突っ込むとなるとA達は集中砲火を受けるだろう。たとえ傘下の海賊団からのフォローがあるとはいえ、海軍本部はそう簡単には落とせない筈だ。
俺が頷くとマルコは立ち上がり、尻を軽く叩いて汚れを払う。
「……Aは怪我してんだ、あんまり無茶すんなよい」
進路を確認してくるよい、とマルコは言い、俺がうんもううんも言わぬうちに離れていった。
マルコの姿が船内に消えていくのを見届けて、俺は視線を前に戻す。
(ごめん、マルコ隊長)
心の中で謝罪した。多分、恐らく、きっと俺はこの作戦で無茶をする。
だって、エースのためなら命すらも惜しくないと思えるから。
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1(プロフ) - × ×さん» お読みいただきありがとうございます！ここからは展開がとても早くて、もうちょっとでラストです(*^^*) (2021年4月19日 20時) (
レス) id: d447c4ab55 (このIDを非表示/違反報告)
× ×(プロフ) - 二日遅れてしまいましたけど、読ませていただきました！ここから展開がどうなるのかワクワクドキドキです！ (2021年4月16日 10時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
1(プロフ) - × ×さん» コメントありがとうございます！とても励みになります(*^^*)本日更新致しましたのでぜひ読んでいただけると幸いです！ (2021年4月14日 19時) (レス) id: d447c4ab55 (このIDを非表示/違反報告)
× ×(プロフ) - とても面白いです！更新楽しみに待ってます-_-b (2021年4月13日 2時) (レス) id: 9bb4cee45f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：1 | 作成日時：2021年4月9日 0時
