ドラグーンの憂鬱3 (ページ50)

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祭壇。01 ページ50

「なあ、俺だけ飛んでエンジェル島に戻っていい？」

「駄目に決まってんでしょ！！」

周りは鬱蒼と生い茂る巨大な木々。まだ日は高いはずなのに薄暗く、木々の隙間から僅かにしか光が入らない。メリー号ごと超特急エビに連れてこられた場所は石で作られ、不気味な彫刻がされている祭壇らしき場所だった。
強引に祭壇へ引き上げられたせいでメリー号の船底は穴が開き、ひどい有様だ。これでは船を降ろせない。

そんな事よりだ――ここの国の神がまさかエネルだなんて思いもしなかった。"スカイピア"という名に聞き覚えがあるなぁとは思っていたが、よくよく考えればエネルがあの日侵攻しにいったところだ。あんな激しい喧嘩別れみたいな感じの最後だ。どんな顔してエネルに合えばいいのか分からない。というか、できる事なら会いたくない。

はぁ、と深いため息を吐き出して、Aは祭壇の階段へ座り込んだ。ゾロが襲い掛かってきた空サメをぶん殴って撃退している。まったくあんなところでよく泳ぐ気になるな。

「あー……」

今猛烈にエースの元へ帰りたい。がっくりと頭を落としながら、後頭部を両手で掻く。エネルの事を考えるだけで気が重い。再度ため息を吐くとペシンと頭を叩かれた。緩慢な動きで顔を上げると呆れた顔をしたナミと目が合う。

「さっきからあーあーうーうー五月蝿いのよ！」

「だって――……何でもない」

ギロと物凄い眼力で睨まれ、俺は口元を引きつらせ言葉を飲み込んだ。神様と知り合いでした。俺を落とした張本人です、なんて言える訳がない。というよりも言いたくない。
まあ言ったところで今のこの状況が変わる訳でも何でもないだろうし、いつまでもうじうじしていてはナミの機嫌が物凄い勢いで下降しかねない。