ドラグーンの憂鬱3 (ページ42)

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栗を訪ねて。03 ページ42

家の外の切りっぱなしの丸太の机と椅子に着席し、クリケットの説明を聞く。此処にいるのはルフィ、ナミ、ウソップ、チョッパー、俺の五人だ。ゾロは家の壁に凭れ掛かってお休み中だ。サンジはクリケットの家に引っ込んで何かやっているようだ。

「"突き上げる海流"……この海流に乗れば空へ行ける。理屈の問題だ。わかるか？」

クリケットは俺たちに問いかける。"突き上げる海流"という物を知らない俺はこてんと首を傾げ、航海士であるナミを見た。

「船が吹き飛ばされちゃう海流なんでしょ？」

ナミの言葉を聞いたルフィが雲の上まで吹き飛べばいいんだと明るい声で言うが、実際そう言う簡単なもんじゃない。飛んで雲に着地できずに落ちてしまったらAはともかく、全員死亡だ。

クリケットはタバコの煙を吐き出しながら深く頷き、言葉を続ける。

「"突き上げる海流"はいわば災害だ。本来断固回避すべき対象なのさ」

「……一体どういう原理で海流が上へ上がるの？私たち今までそんなの聞いた事もなかったし……」

ナミもその海流については詳しく知らないようだ。聞いたこともない、という事はどこでも起こるようなものではなくこのジャヤ周辺の特有のものなのだろうか。丸太の机に肘をつき、突き上げる海流の説明をし始めたクリケットの声に耳を傾ける。

定説では海底の深くに大空洞があり、そこに冷たい海水が流れ込み、地熱によって温められる事によって生じた蒸気の圧力が海底で爆発を引き起こす。それが海を吹き飛ばし空に続く海流となる。時間は一分。爆発の場所は毎回違い頻度は月五回。

「積帝雲と爆破の位置が合わなきゃ、無理って事か……予測は出来るのか？」

「ああ、丁度明日の昼だ」

流石調べているだけあって回答ははっきりとしていた。へぇと相槌を打つ。つまり後はA達の気持ちしだいというわけだ。

死ぬかもしれない、と説明を受けたウソップは涙を流しながら、今にも死にそうな顔をしていた。