ドラグーンの憂鬱3 (ページ27)

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恐怖を堪えて。02 ページ27

眼下にアラバスタ特有の丸い屋根の建物を見ながら、Aはとりあえずアルバーナで一番大きな建物――王宮へ向かった。
街中は国の兵士と反乱軍の兵士で溢れかえり、仲間を見つけるのは至難の業だ。建物スレスレの低空飛行をしながら探しているが一向に見つからない。それどころか、両軍の兵士に狙われて砲弾やら銃弾やらを打ち込まれる始末だ。痛くも痒くもないが目だって仕方ない。

「――……犠牲者を減らせる！！」

「ビビッ！！――"龍ノ息吹(ドラゴン・ブレス)"！！」

王宮の中庭でビビとクロコダイルが対面していた。怖いだとか死ぬだとかそういう事を考えるよりも前に身体が動いた。紅蓮の炎がクロコダイルを包み込む。それと同時にAはビビの目の前へと着地した。

「Aさん！？」

「ビビ、怪我だらけだ……ごめん、遅くなって」

身体中擦り傷だらけのビビを見下ろしてAは悲しくなる。女の子がこんなに怪我をしちゃ駄目だ。
ここにはビビ以外麦わらのクルーはいない。つまりビビを護れるのは己ただ独りのみ。心の底からあふれ出そうになる恐怖心を押さえ込み、煙の向こうを睨んだ。これしきの攻撃ではクロコダイルを倒せない。

「テメェは……"白銀の龍"か？」

「"雷ノ突撃(ラディ・シャンブリア)"！」

クロコダイルの質問に答えず、俺は額に生えた鋭い角に雷を纏わせて突進する。ぐしゃりとクロコダイルの身体が砂に変化し霧散する。自然系のずるいところだ。舌打ちをしながらクロコダイルから距離をとり、重心を前足にかけて胴体を回転させ長い尻尾を撓らせた。