ドラグーンの憂鬱3 (ページ26)

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恐怖を堪えて。01 ページ26

どうして俺はアルバーナまで飛んでいるのでしょうか。砂っぽい空気を胸いっぱいに吸い込み、そして重いため息を吐き出しながら、強く翼を羽ばたかせた。周りに仲間の姿はない。アラバスタ最速の超カルガモ部隊に乗ってさっさと行ってしまった。酷い。

そんな訳で一人寂しくアルバーナへ向かって砂漠横断中だ。ドラゴンになっているから汗はでないし、砂漠の暑さも人間の時ほど感じないがやはり疲れる。しかし、腹立たしいのはラクダのマツゲがカルガモに乗ってアルバーナに向かったっていうところだ。
何で人間の俺が乗せて貰えなくて、ラクダが乗せてもらえるんだ。ちくしょう。俺はラクダ以下か……ぐずん。

「エースに会いたいなぁ……」

今は何をしているんだろう。青空を見上げて吐息を漏らす。うっかり炎まで漏れたが周りには誰もいないため被害はない。そういえば砂漠ばかりで海も暫く見ていない。いつも海の上の生活だったから海が見えないとちょっと残念な気持ちになる。元いた世界の時は海なんてだいっ嫌いだったのに、いつの間にか透ける様な青い海が大好きになっている。
吹きぬける潮風があんなに心地よいものだなんてAはこの世界に来るまで知らなかった。

「……っと、見えてきた……」

遠くに突き出た大きな岩盤が微かに見える。太く大きな岩盤に建物を立て、入り口は五つの階段のみ。それ以外はAのように飛行能力のある人ぐらいしかいけない絶壁のいわゆる自然要塞だ。ビビの努力虚しく戦闘は既に始まってしまっているらしい。南ゲート付近からは土煙が上がっている。
大方バロックワークスの邪魔が入ったのだろう。でなければビビがしくじるはずがない。
何にせよ急いだほうが良さそうだ。俺に出来ることなんてスズメの涙ほどしかないかもしれないが、それでもいい。

翼に力をいれ、速度を上げ真っ直ぐにアルバーナを目指し羽ばたいた。

恐怖を堪えて。02→←定員二名ですよ。