ファイト！02 ページ12
内心で涙を流しつつも、カトラス片手に向かってきた海兵をドラゴンの手で張り倒した。ぎゃあと悲鳴を上げて倒れていく海兵に、申し訳なさを感じつつも捕まるのは嫌だから仕方なしに腕を動かす。
「うわぁ！？ま、まったく歯がたちません！スモーカー大佐ァ！！」
「下がってろ！俺がやる」
"やる"が"殺る"と頭の中ですぐに変換された。間違ってはないと思う。
「"ホワイトスネーク"！！」
「"龍ノ息吹(ドラゴン・ブレス)"！！」
スモーカーの煙の蛇とAの炎がぶつかる。
相殺されるのは分かっている。強靭な四肢を動かして一気にスモーカーの間合いへと詰め寄り、その勢いを殺さずにトゲの付いた尾を撓らせた。
「"氷ノ尾(アイシクル・テール)"！！」
スモーカーは間一髪俺の攻撃を避けた。ビキビキと地面が凍て付きひび割れる。逃げ損ねた海兵が悲鳴を上げている。
「A！あんまり遊ぶなって！」
「あ、遊んでないっ！！」
なけなしの勇気を振り絞って必死に戦ってるっていうのに、遊んでいると思われるとは心外だ。戦闘狂ではないんだから、戦いなんて楽しめないってかそんな余裕ない。
「こんだけ時間稼いだらあいつらも逃げれるだろ！」
にまり口元を歪め、エースは手を前に突き出した。
「ちょ……ま――「"炎上網"！！」……」
めちゃくちゃ俺炎に巻き込まれてるんだけど！！！一応生半可な攻撃、というか炎は効かないけど、俺が逃げるちょっとの間くらい待って欲しかった。仲間を巻き込んで攻撃するの、ちょっと遠慮くらいしてよ、バカエース。ぐずぐず、半分泣きながら何とか炎の中から飛び出した。
「よし！A！ル フィのとこまでひとっ飛びだ！！」
「ラジャ……」
背中に飛び乗ってきたエースに俺は空へと舞い上がる。期待はしていなかったけれど、燃やしてゴメンの一言くらい欲しかった。
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作者名：1 | 作成日時：2021年3月22日 3時
