ドラグーンの憂鬱 (ページ5)

今日:8 hit、昨日:6 hit、合計:161,506 hit

神様と。ページ5

ｴﾈﾙさんは見た目も変だけど、中身も変な人だった。ヤハヤハ笑うし、事あるごとに俺を抱きしめてくる。ｴﾈﾙさん曰く、俺は小さくて抱き心地がいいらしい。身長が既に人外レベルになっているｴﾈﾙさんからしたら殆どの人が小さいと思う。それに身体が硬い男よりか、もっとプリティな女の子抱きしめればいいのに。
以前、さり気無く提案したら、女は甲高い声で喚くから五月蝿くてかなわんと一蹴された上、嫌そうな顔をされた。ついでにその点お前は静かで良い。なんて聞きたくもなかった事を付け足された。

俺はただビビって喋れないだけなんですけどね！

ｴﾈﾙさんが勘違いをしてくれているお陰で俺はご飯と寝床を貰えているのだけれど。

「…………」

「…………」

ｴﾈﾙさんの腕の間で俺はピシ、という効果音が付きそうなほど硬直していた。因みにｴﾈﾙさんは何をしているかというと、本を読んでいる。

暇だなぁ。なんていう俺の呟きを聞いていたｴﾈﾙさんがなら我と本を読むか？とかトチ狂ったことを言い出して今に至るわけだ。この国の文字はミミズののたくった様な文字だから全く読めないし、ｴﾈﾙさんは俺の事なんてまったく気にもせずマイペースに本を捲くっている。あぁもう、暇とか本当だったとしても口にするんじゃなかった。がっくりと項垂れると、気付いたｴﾈﾙさんがわさわさと大きな掌で頭を撫でてきた。振り払う気力もなくてされるがままになる。両親はともかく赤の他人にこんな事をされた事なんてないためくすぐったい。

「ヤハハ、Aは可愛いな」

「ひぃっ！？」

首筋に顔を埋められ、全身に鳥肌が立った。俺は首筋に埋められるより埋めたい派だ！というか、埋められるのは野郎じゃなくて可愛いor美人な女の子が良い！念のためここで宣言しておくが、俺は断じてホ○じゃない。

○モじゃない！(大事な事だから二回言いました)

「うっ……！？」

ぬるんと首筋に湿っぽく生暖かいものが這いずった。なななんなんだ今の！？気持ち悪さに身震いして振り返る。鼻先が触れ合いそうな程近くにｴﾈﾙさんの顔があって驚いた俺は上半身を仰け反らせた。

あ、危ない。もう少しでマウスツーマウス――基、不本意なキスをする所だった。顔を引きつらせていると、ｴﾈﾙさんは舌なめずりをした後、ふ、と鼻で笑って可愛い奴め。なんて寒気のする台詞を吐いて頭を撫でてきた。
こんな状態が此処にいる限りいつまでも続くんだと考えると少し――いや、かなり憂鬱になった。