悪魔の実。01 ページ35
頭に響く鈍痛に俺は呻きながら、身体を起こした。辺りを見回すとモビーディック号の自室だった。
いつの間に船内に戻ったのだろうか。昨日の居酒屋辺りからの記憶が全く無い。俺は首を傾げ、頭痛に顔を顰めながらゆっくりと身体を起こす。
「ぅえッ……」
酷い頭痛だ。吐き気もある。とりあえず食堂で水でも貰ってこよう。のそのそとベッドから降りて、部屋を出た。
「お？今起きたのか？」
頭を抱えながら覚束ない足取りで食堂へ向かっていると、エースが横手の扉から出てきた。彼の大きな声が頭にガンガン響き、頭痛に拍車をかける。
「もしかして、二日酔いか？一口しか飲んでないってのによ」
「……二日酔いって……酒なんて――」
飲んでない。と言いかけて俺は昨日の事を少しだけ思い出して、言葉を止めた。そういえばエースに酒を飲まされた、ような、気がする。その辺りからぶっつり記憶が途切れている。
二日酔いってこんなに辛いのか。頭を抱えたまま、Aは魂が出そうなくらいため息をついた。
「うえーっ……」
「……吐くなよ」
誰のせいだ。誰の。文句を言う気力も度胸もない俺は、心の中で悪態を付いた。
食堂へ行き、サッチから水を貰って何とか頭痛はマシになった。まだちょっと痛いが起きた時よりかは幾らか痛みは引いた。軽めの朝食―時間帯的に言うと昼食だ―をエースと共にとる。
「そういえば、Aって悪魔の実の能力者なんだろ？」
「え、うん……って、悪魔の実？」
勢い余って頷いたが、どこかで聞いた覚えのあるような、無いような単語に俺は聞き返した。確かに俺は能力者(らしい)けど、悪魔の実っていうのは一体何だったか。
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作者名：1 | 作成日時：2021年3月19日 20時
