とりあえず頼れる？人を見つけました。 ページ4
ｴﾈﾙさんについてやってきたのは社みたいな、家というにはあまりに粗末すぎるものがぽつんとある場所だった。その社には豪華なソファが一つ置かれている。ただそれだけだった。
椅子が一個だけ。
ぽかんとしているとｴﾈﾙさんが足を止めた。
「此処が我が社だ」
「あ、はい」
やっぱり社だったんだ。と心の中で思いつつ、俺は小さく頷いた。社だから住んでる場所は別にあるのだろう。多分。
ソファ一個だけの場所(しかも吹きさらし)で生活していないだろう。でももしそうだったらそれってある意味ホームレ(ry
「此方へ来い」
ｴﾈﾙさんがどかりとソファへ座り込んだ。背の高いｴﾈﾙさん用に作られているようでソファもかなり大きい。遠慮気味に傍へ寄ると、ｴﾈﾙさんがソファのあいている場所をぽんと叩いた。横へ座れ、という合図に俺は大きなソファへ腰掛けた。
材質は何なのだろう。今まで俺が座った椅子のどれよりもふわふわで座り心地は最高だった。サイズが大きいため、浅く腰掛けても俺の足は地に付かない。
「わっ！？」
突然太い腕が俺の身体に巻きついた。驚いた俺は思わず声をあげ、すぐ傍にあるｴﾈﾙさんの顔に更に目を見開く。胸を押しても体格差のせいだろう、ｴﾈﾙさんの身体はびくともしない。
「不思議な匂いだ」
「ちょ……」
首筋に顔を埋められ、吐息が掛かってむず痒い。じたばたと暴れてみるも、ｴﾈﾙさんの腕で押さえつけられているため大した抵抗にはならなかった。何故だか顔に熱が集まってくるのが分かる。
「離して下さいって……！」
再度胸を叩くと漸くｴﾈﾙさんは俺から離れてくれた。
「何だ、照れているのか？初心な奴だ」
「照れっ……べ、別に違いますっ、吃驚しただけです！」
あたふたとして言い訳を並べるとｴﾈﾙさんは可笑しそうにお腹を押さえて笑った。
「ヤハハハ、気に入ったぞ、A。我が隣にいることを許そう」
「は……はぁ」
ヤハハハって変な笑い方。と思いつつ俺はよく分からないまま生返事をした。
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作者名：1 | 作成日時：2021年3月19日 20時
