ドラグーンの憂鬱 (ページ29)

今日:6 hit、昨日:16 hit、合計:161,520 hit

買い物。02 ページ29

「「いやっほう！上陸だぁ！！」」

やはりずっと船の上だと陸が恋しくなるのだろうか。名も知らぬ船員の喜びの声を聞き、俺はそんな事を考える。港に船を着け、碇を下ろすなり彼らはばたばたと駆け出していく。

駆けて行く彼らの背中をゆっくりと歩いて追いかける。

「お！A！お前も外出するのか？」

「うん！サッチも？」

「俺は買出しだよ。食料とかあとは色々備品をな」

話しかけてきたのは立派なリーゼントのサッチだ。隣を歩く、というには少々俺とサッチの間に距離があったが、これくらい離れている方が俺は安心できる。あまり近づかれると恐い、という俺の言葉をサッチは気にしてくれている。とてもありがたい。

サッチに相槌を打って返事をしていると、背後から声が掛かる。

「A、一人で行くない。危ねぇだろい」

「あ、ご、ごめんなさい……」

謝罪を口にするとマルコはため息をつく。ぽすと頭を撫でられた。なんというか、子供扱いされている気がしないでもない。

お父さんとは比べ物にはならないけれど、マルコも充分に背が高い。サッチも、だけど。とりあえず俺からすれば二人とも目を合わせるのにかなり見上げなくちゃならないから首が痛い。何を食べたらこんなに大きくなるのか。その身長の秘訣を是非教えてもらいたいところだ――流石に二メートルも要らないけど。

「まあいい、行くよい」

「あ、はいっ！」

「俺は部下を待たなきゃいけないから、また後でな」

「うん！じゃあ、行ってきます！」

サッチと別れ、俺はマルコと共に島へと上陸した。