ドラグーンの憂鬱 (ページ1)

今日:10 hit、昨日:6 hit、合計:161,508 hit

Prologue ページ1

テストの答案用紙を片手に俺はため息をついた。今回のテストは自分の中では割と頑張った方だった。にも拘らず、結果は100点満点中──37点。半分以下の点数に俺は絶望した。
夏休みの補講は決定事項になってしまったわけだ。俺のビバ☆サマーヴァケーション☆計画は脆くも儚く崩れ去った。

がっくりと肩を落とし、俺は家への帰り道をとぼとぼ歩く。ああ、こんなはずじゃなかった。肩からずり落ちそうになっているメッセンジャーバッグを掛けなおし、俺は再び重い息を吐き出す。街の喧騒も聞こえなくなるくらい俺は落ち込んでいた。

だから、気付かなかったのだ。

道がなくなっていた事に。

「えっ……！？」

かくんと傾いた身体に俺は意識を目の前に戻した。目前に広がるは真っ白な雲。訳が分からなかった。
アスファルトの道はどこへ消えた？人は？車は？街灯は？信号は？
理解する事も出来ず、俺は重力に引かれてどんどんと落ちていく。

びゅうびゅうと身体中を打ち付ける風が痛い。
その痛みがこれが夢ではなく現実だと告げている。上手く息をする事も出来ずに俺は呆然と前を見つめた。いつの間にかメッセンジャーバッグは風に煽られてどこかへと飛び去ってしまっている。

文字通りの自由落下に俺はどうする事も出来ずに、意識を遥か彼方へと吹き飛ばした。