変えられない過去。無くなった未来。 (ページ10)

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9話ページ10

正田「証拠も見せられないんじゃ、アリスじゃないって認めたも同然よ。はやくここから出ていきなさいよずうずうしい」

『……(こんなとこそう易々と来るとこじゃないのは確かだけどな)』

正田「ちょっと、聞いてるの！？」

蜜柑「……いや」

正田「え」

『お…』

蜜柑「絶対いや」

正田「な…っ」

蜜柑「ウチはアリスや。ちゃんと鳴海先生にそう言われた」

正田「はあ！？」

蜜柑「ウチは先生信用してるもん。きっと間違いないもん」

『(まあ、何かしらのアリスは持ってるんだろうとは思うけど、本人に自覚がない以上発見されにくいアリスなんだろうな。鳴海は何を見て、この子がアリスだと確信したんだ？)』

何気に鳴海のことを信用しているAは、蜜柑がアリス持ちであることは疑っていない。むしろ正田にあそこまで言われても決して折れないその姿勢に、少し興味まで持ち始めていた。

正田「何根拠もなしに勝手なこと！」

蜜柑「でもアリスがそうでない人より上やなんてウチは思わへん。……あんたらが人より上なもんがあるとしたらなあ

そのくさった根性じゃボケっついでにわっるい頭もどっかで取り替えてこいバーーカッ」

『はは…(ど正論、だな笑)』

正田「な…何ですってーー！？」

てめえ…と他の生徒達も怒る中、蜜柑は怒りを抑えず怒り続ける

蜜柑「バーーカバカバカ！アリス以外取り柄ないしそればっかに縋っとるだけの空っぽ人間ーっ！！」

「こいつっ」と一人の生徒が蜜柑の髪を引っ張り押し倒し、殴りかかった。

蜜柑「ぎゃっ」

飛田「蜜柑ちゃんっ」

『おい…！』

正田「ちょっと誰か手伝ってよ
アリスでこいつ窓から放り投げちゃってーー！」

周りの生徒をさらに煽り続ける正田。
蜜柑と揉み合ってる男子生徒は抵抗をし続ける蜜柑に苛立ちが増したのか、ついには顔を殴ろうとした。
しかし、

バキッと殴りかかっていた男子生徒を殴ったのは、馬足手袋をつけた蛍だった。

正田「今井さん！？」

蛍「…悪いけど、このバカ泣かせていいのはあたしだけだから。勝手に手出ししないで」

『アリス持ちかそうじゃないかは置いといて、佐倉の言ったことの方が正しいよ。そもそも、暴力でしか問題を解決できないような人間が上に立った気になるなよ。』

「「Aくん…」」

正田含め、周りで同じように蜜柑に対し非情な目で見ていた人たちは目を逸らし俯いた。

蜜柑「(何やこいつ、意外といい奴なんか？)」