変えられない過去。無くなった未来。 (ページ14)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:24,433 hit

13話ページ14

蜜柑「へー蛍が天才言うんは納得やけど、あんたも凄いんやなあ」

飛田「A君のアリスは少し蛍ちゃんに似てるんだけどね、創造って言って念じるだけでいろんなものを作れちゃうんだよ。そのクオリティも高くて5歳の頃からたくさんの企業が仕事の依頼をしてくるんだよ」

蜜柑「ほへー」

小さい頃からすごかったんやなあ…と素直に感心する蜜柑。

『別にそんな大したもんでもないよ。今井みたいに実際に作るんじゃなくて生み出すものだから、構造とかきちんと分かってないとすぐ壊れたりするし、非科学的なものも作れなくはないけど、自分なりに細かい設計をイメージしないと作ることすらできないし』

蜜柑「はへ？」

いまいち理解できていない蜜柑に更に呆れながらも説明する。

『…例えばな、車を作ろうとしても、車が一体どんなもので出来ているのか、構造はどうなっているのかを全く知らないで作っても、出来上がるのはエンジンすらかからない車の形をした置物だし、タイムマシーンを作ろうとしても構造はもちろんどうやって時空を越えるのか。そんなどんなに頑張っても普通の科学じゃできないような設定を細かく考えないといけないってことだよ』

蜜柑「え、タイムマシーン作れるん！？」

『いや、まだできてない。ただいま設計を考え中』

蜜柑「なんや…」

『…なんかムカつくなあ。』

あからさまにガッカリする蜜柑にあんなに難しいことだと説明したのにと、少し頭にきた。

『それより、飛田のアリスは知ってるのか？』

蜜柑「え？」

飛田「いいようっ僕のことなんて…」

飛田のアリスについて話を変えたAに、恥ずかしがる飛田。

蛍「委員長のアリスは幻覚能力なのよ」

『文字通り、幻覚を創り出して人に見せるアリスだな』

蜜柑「へえーー」

感心する蜜柑に蛍は口を開いた。

蛍「どーせあんた、この勝負負けるかもしんないんだし、今のうちに勝利の幻覚でも創ってもらって夢見させて貰えば？」

『おーいいかもな』

蛍とAの言葉に固まる蜜柑と飛田。

蜜柑「蛍…」

蛍「あんたがアリスかどうかとか、そんなことはどうでもいいけど。
さっきみたいに自分の身一つ守れないのにこんな危険な試験受けて。少しは巻き込まれたこっちの迷惑も考えてほしいもんね」

『まあ確かに、間違ったことを違うと言い切った佐倉には感心したけど、考えなしに行動するやつはこの学園じゃやっていけないな』

．