第334話 信号まで ページ36
宇佐美「Aさんが教育係りになってくれて良かったです」
背の高い宇佐美さんを見上げると、優しい眼差しでわたしを見ていた。
「あっ…」
なんだか照れくさくなって俯いた。
「すいません…昼から全然出来てなくて…」
宇佐美「お昼に何かあったんですか……電話？」
体調不良を気にしていた宇佐美さんだけど、ほんとは違うってわかってたんだ。
エレベーターが開いて、宇佐美さんに先に乗るように促され、その後、宇佐美も乗り1階のボタンを押した。
「なんでもないんです…ただボーっとしてて、すいません」
宇佐美さんが眉根を寄せて困ったような顔をする。
宇佐美「僕の方が年下なのに、謝ったり敬語だったりしないで下さい」
「あ…すいません」
宇佐美「ほら、また謝った」
「慣れてなくて…なのに、わたしが教育係なんてすごく申し訳ないんです」
宇佐美「謙虚なんですね。仕事の時は、すごくテキパキしてわかりやすく教えてくれてるのに。もっと自信を持って下さい」
また褒めてくれる。
社交辞令とわかっていてもなんだか嬉しくなってきた。
「…ありがとう」
宇佐美「Aさんにお礼を言うのは僕の方ですよ。三ヶ月しかないですけど、たくさん色々教えて下さい」
ほんとに宇佐美さんっていい人だなって思う。
こんなわたしを先輩教育係として立ててくれる上に、気まで使ってくれる。
エレベーターが降りて、1階ロビーの入り口まで並んで歩いた。
「じゃあ、ここで。お疲れ様でした」
軽く頭を下げて歩き出そうとすると、宇佐美さんがわたしを呼ぶから振り向いた。
「どうしました？」
宇佐美「電車ですか？」
「………いえ」
これからジェジュンに電話して、迎えを阻止するんです。
宇佐美「バスですか？」
「……どうしてです？」
宇佐美「同じ方向なら一緒に帰りませんか？」
「えっと…今日は無理なんです。ごめんなさい」
宇佐美「そうですか。では、また明日。お疲れ様です」
そう言う宇佐美さんの表情がすごく寂しげだった。
「そこの信号までなら…」
そんな顔されたら、わたしが断ったのが悪いみたいで思わずそう言ってしまった。
信号の前で別れたらジェジュンに電話をしよう。
宇佐美「はい。信号まで」
スっとわたしの横に宇佐美さんが立った。
二人で歩いても話す事がなくて、わたしは俯いたまま。
仕事でしか関わってないし、ましてまだ二日目。
自分から話題をフルなんて出来ないし…
このまま信号まで無言でいいかな。
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ゆめら(プロフ) - プリンさん» ありがとうございます＾＾ (2013年6月10日 2時) (
レス) id: 6524072a34 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめら(プロフ) - 殺センセーさん» ドキドキしてくださって嬉しいです＾＾ありがとうございます！ (2013年6月10日 2時) (レス) id: 6524072a34 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめら(プロフ) - パンダさん» ありがとうございます＾＾ (2013年4月30日 20時) (レス) id: 6524072a34 (このIDを非表示/違反報告)
パンダ - 楽しい＾＾ (2013年4月30日 14時) (レス) id: 8c0c68e780 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめら(プロフ) - SHIWHONさん» はじめまして＾＾投票＆お気に入り登録ありがとうございます<(_ _)>頑張って更新しますねっ！ (2012年6月11日 23時) (レス) id: 321900d9b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆめら
| 作者ホームページ：http://ameblo.jp/lovemax-yumera/
作成日時：2012年2月13日 5時
