4話 ページ35
『でもエボルドライバーを使うのは私だけじゃないでしょ?内海さんも……あれ、内海さんは?』
私達を窮地から救ってくれたはずの内海さんがいないことに気づいて辺りを見回す。
「内海はここに来る前に帰ったぞ」
「気づいたなら止めろよヒゲ」
『私、探してくる』
戦兎に強化アイテムのことは任せて私は内海さんを探しに出た。
もう難波重工に帰ってるのかなと思ったけど、まだそんなに遠くに行ってなかったみたいで街を一望できる公園に佇んでいるのを見つけた。
内海さんの目は真っ直ぐにパンドラタワーを見つめていて、無表情だった。
『内海さん、ここで何してるんですか?』
私がそう言って隣に行くと、内海さんは少し目線を下げてメガネをクイッと触った。
「君こそ、ここで何してるんだ」
『作戦会議しようとしてたのに内海さんがいなくなったから、呼び戻しに来たんです』
内海さんの顔を見るけどやっぱり無表情のまま。
感情が読み取れない。
何を思ってるのかよく分からないけど、この前は私達に力を貸してくれて、さっきも助けてくれたことを思い出して口を開いた。
『内海さん、私と一緒に戦ってください』
内海さんはしばらく黙り込んで、またパンドラタワーを見つめた。
「またあの塔を見ることになるとは思っていなかった。私は……普通に人間らしく生きたかっただけなんだ。泣き、笑い、誰かを想って生きる。ただそうしたかっただけなんだ」
声色も何一つ変わらない。
でも心の奥底ではそんなことを思ってたんだ。
内海さんの人間らしさに触れて、少し頬が綻んだ。
『じゃあそうできるように、エボルトを倒しましょう。私達ならできるはずです』
「私と共闘なんて……いいのか?地球を守るためだったが、私は君や仲間を傷付けたんだぞ」
『気にしてないですよ、そのおかげで新世界を創れたんですから。内海さんは、自分の命をかけて戦った立派な仮面ライダーです』
そう言ってパンドラタワーに目を向ける。
そのすぐ近くで爆発が起こった。
「なんだ今のは!?」
『行きましょう!』
私達は爆発の正体を暴くため、爆発地点へと向かった。
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作者名:Non | 作成日時:2020年8月8日 18時