NEW WORLD (ページ22)

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5話ページ22

一海Side

戦兎はその旅行で何があったかと聞いてきた。
俺が話せない分を赤羽が喋ってくれる。

「あぁ、心当たりね…あっ！そういや無人島で温泉入ったんだけどよ」

『無人島で温泉…？』

「なんか訳わかんねぇ液体が飛び出したんだ。突然湧き上がったもんだからよ、ガバガバお湯飲んじまって。そのせいか体がおかしくなっちまってよ…しばらく高熱が続いてマジで死ぬかと思った」

「温泉？」

『まあ、日本は有数の温泉地帯だからね。よくそれで死ななかったよ』

労いの言葉をAがかけてくれた時、戦兎の携帯が鳴った。

「紗羽さん、どうした？……ファントムリキッド？」

戦兎はしばらく紗羽さんと話して電話を切った。

「元の状態に戻れるかもしれない。俺達はここを出る、お前達は美空の元に行ってくれ」

「え？」

「敵がここを知ってるってことは、俺達の情報もかなり知られてるってことだ。美空に危険が及ぶ可能性がある」

「いや、でも…」

「美空を連れてここまで来てくれ。A、行くぞ。おい起きろ、早く起きろ筋肉馬鹿！」

「なっ！俺は筋肉バカじゃねぇ！バサッ！プロテインの貴公子、万丈龍我だ！」

そう言ってかっこつける龍我は、めちゃくちゃ寝ぼけていた。

『何それ……』

「行くぞ」

「あっ、おーい戦兎、どこ行くんだよ」

『黙って着いてきて、プロテイン馬鹿』

龍我を引きずっていく2人を横目に赤羽に呼ばれる。

「俺たちもみーたんのとこに急ぎましょう！」

「行かねぇ……」

「はぁ？何言ってんすか！」

「俺は振られた身だし、合わせる顔がねぇ」

「こんな時にそんなこと言ってる場合じゃないでしょ！みーたんの身に何かあってもいいんですか？万が一のことがあったら、それこそ一生後悔しますよ！」

俺は赤羽の手を振り払って、地面を眺めた。

「分かりました、なら俺たちだけでみーたんを迎えに行きます。見損ないましたよ」

だって…しょうがねぇじゃねぇかよ。
俺は振られたんだから。