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ラブ&ピースの世界へ-5- ページ9

幻さんは安らかな顔をして消えていった。
私達に託して消えたのだ。


「どうやら無駄死にだったようだな」


エボルトの言葉に血管が切れる音がした。


『無駄…?ふざけないで!幻さんは無駄死になんかじゃない!』


立ち上がってエボルドライバーをまた身につけた。


「Aちゃんもう無理だって!」

『無理なんかじゃないよ、私が決着をつけてくるから』


私を支えていてくれた紗羽さんに笑顔を向けた。

痩せ我慢。
そんな言葉辞書から消してやる。

葛城忍に渡されたフェニックスエボルボトルを手にした。
エボルドライバーをもってしても無理ならば、エボルトの遺伝子が組み込まれているこれならいけるのではないだろうか。

使ったことがないボトルだけどこれで勝てるなら。
フェニックスエボルボトルとリモコンフルボトルをエボルドライバーに差す。


『変身!!!』


エボルボトルと言うだけあって私の周りを包んだのは毒々しい色をしたチューブ。
スーツはエボルに似たような色をしていて、少しだけ嫌な気持ちになる。


『フェーズ4。あんたと同じ、完全体だよ』


でもその分強さも増しているはず。
私を赤紫色のオーラが包んだ。


『幻さんが教えてくれた、トリガーを壊せばあんたの動きを止められるって!』


このドライバーには内海さんがエボルトの攻撃パターンをインプットしている。
少しの間ならエボルトの攻撃にも耐えられる。

私はエボルトリガーを重点的に狙いエボルトに攻撃を食らわせた。
やはりフェーズ4は強い、エボルトに攻撃を浴びせる度エボルトは苦しそうな声を上げた。


「このまま戦い続ければお前も内海のように死ぬぞ!」


違う、エボルトは分かってない。
内海さんがこのドライバーでフェーズ4まで一気に上げて戦ってくれたおかげで、私はより少ない抵抗で完全体になれていた。
だからより長い時間戦える。

それに。


『私はこの一年間、生きてこられたことが奇跡だった…みんなが助けてくれたから、消滅せずに済んだ!それがどんなに幸せだったことか、今では分かる。だから、自分の身を犠牲にしてでも私は戦う!それが、仮面ライダーだ!!』


守られてばかりで無力だと思い込んでた。
でも違った、ちゃんと自分がここにいる意味があった。

龍我の帰る場所で、美空の初めての友達で、戦兎の支えで、紗羽さんが仲間になるきっかけで。

一海だって幻さんだって、私のいる意味を教えてくれた。


色んな偶然が重なり合って、私達の道ができた。

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作者名:Non | 作成日時:2022年5月7日 13時

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