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ゼロ度の炎-5- ページ4

内海さんは今まで見た事がないような優しい笑顔を見せて目を閉じた。
内海さんの体はオーバーヒートしていて、体から煙が上がっている。

本当に人間じゃなかったんだ。
サイボーグになってまで、難波を守ろうとしたんだ。

エボルドライバーには内海さんが使っていたバットフルボトルとエンジンフルボトルが刺さったままだった。
これも、私に託してくれたんだ。


『内海さんの想い、ちゃんと受け取りましたよ』


少しの間しか一緒に働けなかったけど、最期を看取ってあげれて良かった。
内海さんの死は、絶対に無駄にしない。


私はエボルドライバーを手にまた階段を登った。
私の目は決意の光で燃えていた。

けど、その目からぽつりぽつりと涙が流れてくる。

守るために戦っていたはずなのに。
また私の目の前で、人を死なせてしまった。

もうこれ以上、誰かを失いたくない。


「A!」


名前を呼ばれてハッとする。
気づけば頂上に着いていて、目の前には龍我がいた。

戦兎も紗羽さんも幻さんもいる。
あとは一海と美空だけだ。


「A、それ…」


戦兎は私が持っているエボルドライバーを見た。
私はそれを胸の前に持ってきて戦兎を見据える。


『もう、見てるだけなんてできない。誰がなんと言おうと、私も戦う』


幻さんの体の傷を手当しているとロストボトルを握り締めた美空がやってきた。
それも一人で。

戦兎達が駆け寄ると、美空はロストボトルを戦兎に渡した。
美空が一海の死を示唆する言葉を口にする。

耐えられなくなって私達は泣き出した。
枯れたと思っても、何度も流れてくる涙。

仲間を失いたくないのに。
どうしてこうも残酷なんだろう。

泣き叫ぶ私達の耳に、不穏な足音が聞こえてくる。
休む暇すら与えてくれないのか。


「よ、」

「…エボルトォ!!!!」


この怒りは全て、今ここでぶつける。

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作者名:Non | 作成日時:2022年5月7日 13時

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