ビルドが創る明日-8- ページ19
戦兎Side
万丈は曲がり角を曲がった先で俺を待っていた。
すごい名残惜しそうな顔をしてるけど、こいつはこのままがいいらしい。
俺はまたバイクを取り出して走り出した。
万丈も俺の後ろに乗って、行き当たりばったりに走る。
「そういえば、ズボンのチャック全開だぞ〜」
「まじか!」
俺がそう言ってやれば万丈は驚いて自分のズボンのチャックを閉めた。
「いつから!?」
「エボルトと戦う前から」
「そんな前から!?なんで言ってくんねぇんだよ!」
「どのタイミングで言うんだよ、自分で気づけ馬鹿」
「バカってなんだよ!せめて筋肉つけろよ!!」
「揺らすな!!馬鹿!お前危ねぇよ!」
肩を掴まれて揺らされてバイクはゆらゆらと揺れて走った。
俺達は街を見下ろせる公園に来て、万丈にファイルを渡した。
「なんだよこれ」
「俺達の記憶を50のエピソードに分けてデータ化するんだよ」
「はぁーん…」
「さて、当時を振り返って…」
俺は手に持っていたボイスレコーダーを手にして、記憶を開くように言葉を紡いだ。
「天才物理学者の桐生戦兎がいる東都の街で、スマッシュと呼ばれる謎の怪人が市民を脅かしていた。そこに現れたのが、我らがヒーロー仮面ライダー!」
「自分で天才とかヒーローとかイタいんだよ。ただの記憶喪失のオッサンだろ」
「うるさいよ、そう言うこいつは刑務所を脱走した殺人犯の万丈龍我!」
「俺は殺しも脱走もしてねぇ!」
「そう言ってわんわん泣いてすがるもんだから心優しい俺は…」
この記憶がいつか誰かの目に止まって、ラブアンドピースのために使ってくれれば俺は幸せなんだ。
-END-
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作者名:Non | 作成日時:2022年5月7日 13時