涙-2 (ページ2)

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「虫に……」

こんな状況でも
嘘をついてしまう私

西「正直に言って」

正直に言うのが怖くて
涙目で隆を見て
下唇を噛む

西「はぁ……もういい」

呆れた顔をして
私から離れ部屋を出た

(嫌われた……)

涙が止まらない

素直に言うだけのことが
こんなに難しいだなんて

言っていたら変わっていただろうか？
嫌われてしまうことが怖い
けどそれ以上にだっちゃんと隆の関係が
崩れることが嫌だった

〝ちゃんと話せば分かってくれる〟

そうだ。

私は隆を追いかけた

｢隆？｣

リビングにも隆の部屋にも姿はない

靴はあるし家の中に居るはず

(もしかして……)

私は自分の部屋の扉をそっと開けた

何も物がない私の部屋のはずなのに

目の前に飛び込んできたのは

ダブルベッド

｢えっ！？｣

部屋に入った途端
閉まるドア

宙に浮く私の体

｢た、隆！？｣

ーバサッー

布団の上に軽く投げられ

その上に跨る愛おしい人

西｢……ごめん｣

彼から発された言葉は
想像と全く違う言葉で私は驚いた

｢隆？｣

西｢俺も悪いのに由奈のこと責められないよな｣

口元は笑っているが
八の字眉毛の困った表情が私を見ていた

西｢あの日、打ち合わせをしたいって突然部屋に来たんだ。俺は大切な人がいるから2人きりで部屋での打ち合わせは困るって話もして、あの後すぐちょっと無理矢理にだけど部屋を追い出した。本当に何もない。信じてもらえないかもしれないけど。由奈が心配なら本人の口から話してもらってもいいし。｣

突然話し出した彼の目はウルっとしている

西｢……俺のこと……嫌いにならないで｣

瞳から落ちる一滴の涙

さっきまでの隆と打って変わって
どこか弱々しい隆に私は驚き
戸惑いどうしたらいいのか分からなくなっていた

｢……嫌いになんてならないよ。｣

私を上から見つめる隆の頬に
そっと手を置いた

西｢……ッ。ごめん。さっきもごめん｣

｢さっき？？｣

西｢意地悪した……。本当は跡の理由知ってる｣

胸元に触れる大きな手

｢えっ！？｣

西｢日高……でしょ？｣