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ゲン「Aちゃーん、千空ちゃんの誕生日のために頑張りたいのはわかるけど、少し休憩しな」
『…はーい』
ゲン「……」
Aは手を止め、科学倉庫で休憩しているコハクの元へ向かう。そしてその背中にぐでーっともたれかかった。
『あ、そうだ。ゲン、ひとつ聞きたいんすけど、先輩達が4日までに帰ってこなかったらどうします?必ず帰ってくる保証ないっすよね?』
ゲン「そこは大丈夫。マグマちゃんに頼んどいたから」
『おぉ、仕事がはやい』
ゲン「もっと褒めちゃってくれていいのよ?」
『調子にのるな♡』
ゲン「あらこわーい♡……あ、ねえねえ、俺からも聞きたいことあるんだけど、成瀬柑奈って知ってる?」
『知ってるもなにも、私のお姉ちゃんすよ?』
ゲン「やっぱり」
成瀬
Aと同じ色の髪と瞳を持つ女性で、モデルや役者などの仕事で活躍した芸能人。その柑子を表す名の通り多くの人に愛される存在だ。正真正銘Aの姉。ゲンがAの顔に既視感を持ったのも柑奈を見たことがあったからだろう。
コハク「Aの姉は既になくなっていたのではなかったか?」
コハクの言う通り柑奈は既に帰らぬ人となっている。人類が石になるよりも前に肺炎で。
姉がもういないことはゲンもAに聞いたから知っている。顔も結構似ているが、2人が姉妹だと今ひとつ確信が持てなかった理由は柑奈の成瀬という苗字と、いつか聞いたAの碧という苗字が違っていたから。
ゲン「苗字が違う理由聞いてもいい?」
『それにはマリアナ海溝よりふか〜いワケが......嘘っすねぇっす』
ゲン「ないんかい」
一度まぶたを下ろしたAはゲンの黒い瞳と視線を合わせる。
『別に隠してることでもありませんし、全然教えますけど……聞いたら、運命変わっちゃうかもしれませんよ』
ゲン「...」
『...』
ゲン「え、そんな重い話なの?」
『何言ってるんすか。私の過去知ったところでゲンの運命は変わりませんよ。今のはとあるキャラのセリフパクリました』
いぇーいともたれかかっているコハクの背中からピースを覗かせる。「だよね〜」とゲンは愛想笑いで返した。

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作者名:ゆま | 作成日時:2023年8月8日 12時