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『あ、あの……ありがとう、ございます』
視線を一度千空に寄越し、再度逸らす。嬉しいやら恥ずかしいやら感情が忙しく動いているのが分かった。切実に一度休憩させて欲しい。しかし生憎、都合良くセーブをさせてくれるタイプライターも手帳も公衆電話もない。ポーズ画面にすら行かせてもらえない。まあそもそもそんな機能なんて現実にあったら困るのだけれど。
『なんか疲れました………さっさと真空管作り始めましょ』
千空「ククク、ああそうだな」
Aは背を向けて科学倉庫へ歩き出す。彼女の珍しい顔を見れたことでご満悦の千空様。その背中を見てもう一度笑いを零す。疲れたと口にしていたが、口調や表情からそこまで疲労の色は見えなかった。おそらくいたたまれなくなったのだろう。
ゲン「千空ちゃ〜ん。お話し終わった?」
千空「あぁ、やっぱ見てやがったか」
ゲン「声までは聞こえなかったけどね〜Aちゃんも見てること気づいてたんじゃない?」
千空「だろーな」
ゲン「よかったねー千空ちゃん」
そう言ってゲンは笑顔を見せる。実はこのメンタリスト、千空がAを好いていることに気づいていた。千空にはお世話になっている故、幸せになってもらいたかったこともあり、2人がくっつけば面白いということもあり、色々あったので彼なりに陰ながら背中を押していた。ただその御相手のAは彼の気持ちには気づいていないようだし、彼のことを意識している素振りもみせていない。これは脈ナシなのでは?と考えていたところ、まさかの彼女から先輩が好きだという発言が降ってきたもんだからメンタリストもびっくり。
ゲン「(これで新たなカップルが誕生だね〜)」
なんて考えているゲンだが、そこにひとつの問題がある。千空もAも交際の申し込みはしていない。カップルは成立していないのだ、無念。
千空「テメーも手伝いやがれ」
ゲン「はーい」
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作者名:ゆま | 作成日時:2023年8月8日 12時