後輩女子的。chapter3【Dr.STONE】 (ページ14)

今日:7 hit、昨日:27 hit、合計:8,447 hit

データ103 ページ14

千空「なんならプロポーズでもしてやろうか」

ただ、理由が分からないといっても千空がAを好きな気持ちは嘘じゃない。Aがまだ完全に信じ切れていないとみた千空は冗談めかしてそんなことをいう。悪い顔を見たAは一度瞬きをしてから愛想笑いを浮かべる。それが照れ隠しだと分かった千空。彼女がどれだけ自分のことを卑下しようと千空にとってはただの可愛い女でしかない。そんな照れ隠しをする様子さえも可愛いと思えてしまうのだから重症かも。

『……交際0日でプロポーズって…どこのノベルゲームっすか…』

やっとその瞳から目を逸らすことが出来たAは額に手を当てる。未だ位置が分かるくらい煩く鳴っている心臓を落ち着かせながら細く息を吐き出す。Aも千空のことは信用しているし嘘をついてるとは思わない。色々感情がごちゃ混ぜになっているAの思考を奪うように千空は額に当てられている彼女の手を掴み、顔から退けさせる。そしてその耳元に口を近づける。

千空「ーーーーーー」

『………っひ！』

先程Aの照れた顔を見た千空には普段見れない顔を見れたからか、面白いという感情が芽生えた。今まで見たことのなかった顔、しかも自分を意識しまくったが故のこの表情。加えて好きな女の。それが彼にとっては蝶より花より可愛かった。可愛くないわけが無い。むしろ可愛い以外の何ものでもない。

ただもう一度その顔を見たい一心で更に距離を詰めて囁けば思ったとおり。やっと赤みが引いて来たというのにブラッドムーンの如く再び顔を真っ赤に染め上げた。そして慌てて距離をとってどこかの桃色のぼっち少女を思い出させるような速さで首を振る。『わかりましたわかりました分かってます！………もう勘弁して…』と口から出る音はだんだんしりすぼみしていく。唐突な糖分投下(過多)はAの心臓に悪い。不意に頭の中で「はちみつ固め濃いめ多めで！」という元気な声が響き、もう一度首を横に振った。No more 糖分。これ以上は無理だ。好意を向けられる経験などほとんどなく、耐性がついていないものだから尚更。彼女にとってはこの3分足らずの間に一生分のドキドキを味わったのではないかと思うほどだ。