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データ102 ページ13

石神千空と碧Aは彼らが小学生の頃からの顔馴染み。しかしそんな千空にも彼女の見たことのない表情が2つあった。ひとつが照れた顔。千空と居る時に乙女ゲーやギャルゲーをするくらいには恥ずかしいなんて感情を見せることがなかったA。漫画やアニメなどで所謂胸きゅんシーンを見てもそんな様子や仕草をすることもなかった。そのため千空はコイツには羞恥という感情が欠如してるんじゃないかと思ったこともあった。しかし彼もAの過去にそういうことがあったのは知っているので、その時にそういう感情は忘れてきてしまったのだろうと考えた。

しかし今目の前にいるその後輩は自分の言葉ひとつでわかりやすいくらい顔が赤くなっている。髪の間から覗く耳でさえ同じ色だ。小さく開かれた口は僅かに震えている。誰がどう見ても照れていると分かる表情。潤んだ瞳をゆらゆらと動かす様はどこかくるものがある。




『……何で、私なんです?』


やっとのことで絞り出したのは全く可愛くない言葉。自分から告白したくせに同じことをされて疑問で返してしまった。それを聞いた千空は1度大きく瞬きをする。そして頬に添えていた手を下ろした。その返しを予想してなかった、と言えば嘘になる。
Aは自分のことが好きではない。いや、自分の顔は姉と似ているからという理由で好んでいる。しかしいつだったかそういうことをしていた相手の男に「私に何でこういうことをするの」と問いかけたことがあった。そこで「Aちゃんは顔が可愛いから」と返ってきたため、気に入っている顔でさえたまに呪ってしまいたくなるほど憎く映る時がある。
そういった経緯があり、彼女は自分に対して自信もないし好意も持ったことがない。顔が良い彼女だ、告白されたこともあった。しかし何で私を好きになったのか、自分に告白してくる理由が分からなかった。

しかし好きな人ができ、告白をしたからか千空は自分のことを好いているとさっきの視線で分かってしまった。だからこその疑問。何故よりにもよって可愛くない私なんだと。こんな私が好かれるわけないのに。


千空「さあな。俺にも分かんねぇんだわ、何でお前なのか。気づいたらそうだったんだから仕方ねぇだろ」


好きになった理由は彼自身も分からない。この感情に気づいた時にはもう墜ちていた。そして1度落下し始めれば後はフリーフォールと一緒でもう止まれない。

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作者名:ゆま | 作成日時:2023年8月8日 12時

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