またおれたちと。 《 短編集 》

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夏が終わったばかりとはいえ、秋の風は少し冷たい。


同時に僕の頭も冷やされていく 。







思い返せば、僕はAが大好きだった 。





ちょっと抜けててアホなところとか


痩せたいっていう割にはお菓子食べるところとか


運動神経悪いのに僕の真似するところとか


頑張り屋でひたむきなところとか




まだまだある 。



ああ 、大好きだったんだなあ 。









戻りたくても 、もう戻れない 。





だけど、もうAのわがままを


笑顔で聞けるほど、僕は優しくなくなった 。





無邪気で 、子どもっぽくて 、かわいいAを


わがままに感じてしまったんだ 。




大好きさえも、わがままだと思ってしまう 。









きっともう潮時だったんだよ 。


仕方がなかったんだよ 。






そんな風に思える僕は 、恋人失格なんだ 。






わがままに感じたなら 、どうにか出来たはず 。


大好きだって 、本当は嬉しかったはずなのに 。







怖かったんだ 、Aに突き放されるのが 。




自分は突き放したくせに 。






でも 、あの頃の僕にとっての1番は


スケートじゃなくてAだった 。



ちゃんとAだったから 。







あの様子じゃ信じて 、くれないよな 。




ーfinー

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