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4章ー1 進み始めた時計 ページ38

引き裂くような機銃の音。もうもうと巻き上がる土埃。噎せ返るような血のにおいに、思わず口元をおさえたくなる衝動。だが握りしめた剣を離す余裕はなく、ただ目の前に立ち塞がる賊を切っては捨ててを繰り返した。感覚が麻痺するような感覚も、もう随分と久しぶりかもしれない。





リドラの外れの小さな集落で騒ぎが起こっているという報告を受け、わたしは数名の部下を引き連れて鎮圧の為に現地へと赴いていた。敵はざっと数える限り人数は三十前後。それなりに武装しているところを見るに、食料目当ての野盗といったところか。特に手練が混じっているということはなくどれも一般人の域を出ないが、人数差により戦況はほぼ五分五分といったところだった。


一部の部下には住民の避難と安全確保を指示していたが、もうそろそろ終えた頃だろうか。刃にこべりついた脂を振り払いながら目配せする。視界に入るのは、こちらを取り囲むように躙り寄る鋭い眼光の男たち。その奥には交戦中の部下の姿がちらほら伺えるくらいで、非武装の人間は見受けられない。どうやら無関係の住民を巻き込む心配は要らなそうだ。


「考え事か?随分余裕そうじゃねえかお嬢ちゃん」
「・・・あなた方と話すことはありません」
「ちっ、犬がいい気になりやがって!」


安い挑発に乗せられた男が斬りかかってくる。わたしはそれを刀身で受け流すと、素早く懐に入り込み右肩に切っ先を突き立てた。鈍い音が聞こえ、目の前に赤が広がる。そして恨み声のような絶叫。剣を引けば、男は呆気なく地に伏せる。それを皮切りに、取り囲んでいた幾人もの男たちが声をあげながら無鉄砲にも飛び込んできた。


剣を交えながら、背中に冷や汗が流れるのを感じる。鍛錬を怠ったつもりはないが、どうにも体が不調を訴え掛けてきている。だからと言ってどうにかなる局面でもなく、今は分泌されるドーパミンが切れないことを祈るばかりだ。





「・・・はー、ッ」


なかなか減らない人数に息も絶え絶えになりながら、迫り来る賊をなんとか捩じ伏せる。そろそろ助太刀が欲しいところなのだけれど。そう思いながらほんの僅かに視線を逸らした時だった。

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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください! (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください!亀更新ですが頑張ります! (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください! (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遊麻 | 作成日時:2017年12月7日 16時

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