間章ー３ 知られざる葛藤 ページ4
コンコンと扉を叩く音に、途切れる寸前だった意識が引き戻される。伏せていた顔を上げると、目の前のデスクには乱雑に積み重ねられた書類の山。･･･ああそういえば、さっきまで溜まった執務を捌いていたんだったか。それでついうとうとしてしまって。眠気を誤魔化すように目を擦っていると、こちらの許可を待たずして扉が開かれた。
「入るで」
顔を出したのはトントン。その腕には幾つかのファイルのようなものが抱えられており、僕は仕事の話かと反射的に苦い顔をした。
入室したトントンはその目に深い隈を拵えていて、疲労が伺える。同じ立場でありながら僕らのような一端の幹部の倍以上の仕事をこなしている彼が、睡眠を削って書類と睨めっこをしているのはいつもの事だ。その社畜精神は尊敬に値するが、とてもじゃないが真似できそうにない。
「トンちゃんどうしたん？」
「どうかしたんちゃうわ。こないだの書類提出期限過ぎてんねんけどあくしろよ」
「えッ、ごめん忘れてたわ。待ってや探すし」
僕はひくりと頬を引きつらせる。確かに先日、締切近い書類を見たかもしれない、と散らかったデスクを見やる。あまり整理整頓する習慣がないため、どこに何があるのか分からないが、探せば恐らくあるだろう。
「あ？なに失くしとんねん」
「や、あるで。だってこないだ書いたん覚えてるし」
「ほんまか？」
「ほんまほんま。ちょっと座って待っててや」
疑わしそうな目を向けてくるトントンに、僕は両手をひらひらと振って苦笑いをする。このデスクのどこかにあるのは本当だ。恐らく。トントンは呆れたようにため息をつくと、手近なソファに腰を掛けた。
「はいはい。俺も立て込んでるから早よしてな」
「オッケー」
僕はわたわたとデスク周りを片付け始める。
目の前の彼のようにそうでない者もいるが、僕は基本的に私室はある程度メイドに掃除をさせている。シッマなんかもそうだ。だからいつも自分の生活空間は清潔な環境を保ててはいるのだが、流石に自分のデスクまで片付けさせるわけにはいかない。見られてまずいような書類は流石に見える所で保管はしないが、どうしてもデスクだけは散らかってしまうのだ。それで度々期限をうっかり忘れてしまい、トントンの手を煩わせることになってしまうのは本当に頭が上がらない。
「あとさ、もう一件あんねんけど」
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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (
レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください！亀更新ですが頑張ります！ (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください！ (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊麻 | 作成日時：2017年12月7日 16時
