３章ー１２ ページ20
「そんなこと言うたかて、初対面の相手に突然呼び出されたら警戒するやろ？」
「俺の名前出したらええやんけ」
「やってAちゃん、ゾムのこと頑なに言おうとせえへんのやもん。いじらしくて」
頭上を飛び交うやり取りに、先ほどまでの自分の態度を思い出し、かあっと頬に熱が篭る。
確かに今思えば、わたしに友人のことを尋ねたりドレスの色について触れてきたりと、あからさまに関係をつつく様な話題を振ってきていたように思う。曖昧に誤魔化すことしか出来なかったけれど、全て知った上で反応を伺っていたのだとするとさぞ面白かったことだろう。穴があったら入りたい気分だ。意地悪な言い回しをする彼も彼だが、気付かないわたしもわたしである。
「お前から言えや」
「あんま怒らんといてや。なあ、Aちゃん？」
「と、突然振らないで頂けませんか」
毒づくゾムさんをひらりと躱すオスマンさんは何枚か上手のようで。背後から同意を求めてくる彼にあたふたとしていると、ふふ、と可笑しそうに笑みを零す。
「大丈夫やで、さっきみたいに固くならんでも。僕は最初から君らが知り合いってこと知ってるから」
「･･････そうでしょうね」
苦笑いを浮かべていると、見かねたゾムさんが窮屈そうにネクタイを指で緩めながら、じとりとオスマン様を睨み付けた。
「もう用ないからさっさと離せや」
「そんな酷いこと言わんといてや。ゾムのお友達、僕も仲良うしたいんやけど」
「せんでええ。知られたのも不可抗力やしはなから紹介する気もあらへん」
「冷たいわあ」
「おら、さっさと出てけや」
しっしっと手を振って邪険にするゾムさんに、オスマン様は不満そうに声をあげる。だがその態度すら面白がっているようで、彼の表情は緩んだままだ。２人の温度差に冷や汗をかいていると、漸くオスマン様が「しゃあないなあ」と言いながらわたしの肩から両手を離す。それから降参とでも言わんばかりにその手を宙に上げてひらひらと振って見せた。
「ほな行くわ。またね、Aちゃん」
「あ･･･はい」
オスマン様に小さく会釈をする。意外にもあっさりと彼は部屋を後にし、パタンと扉は閉じられた。満足したのか、あるいはこれ以上揶揄うと怒りを買うと思ったのか。どちらにしても引き際は心得ているらしい。
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遊麻(プロフ) - たこぱちょさん» コメントありがとうございます。応援本当に励みになります。スローペースではありますが必ず更新致しますので、引き続きよろしくお願い致します。 (2018年10月30日 10時) (
レス) id: 783499c5d1 (このIDを非表示/違反報告)
たこぱちょ(プロフ) - 本当に面白いのでゆっくりで良いので更新頑張ってください！ (2018年9月4日 17時) (レス) id: 6746a77822 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - kanonさん» コメントありがとうございます。想像以上にゾムさんが人気で恐縮です、出番までもう少しお待ちください！亀更新ですが頑張ります！ (2018年8月3日 1時) (レス) id: bbd918f008 (このIDを非表示/違反報告)
kanon - ゾムさんかっこよすぎてちょっと叫びました(笑)更新待ってますね。頑張ってください！ (2018年7月11日 23時) (レス) id: e0a7914592 (このIDを非表示/違反報告)
遊麻(プロフ) - みんさん» 長らく更新していないのにコメントくださってとても嬉しいです。ありがとうございます。亀更新になりますが、お楽しみいただけると幸いです。 (2018年5月24日 17時) (レス) id: 175c4c32e1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：遊麻 | 作成日時：2017年12月7日 16時
